「安倍外交」とは何だったのか…政権7年間の真価が今問われつつある

結局、「外交での成果」は上がったか
宮城 大蔵 プロフィール

ここに来て日中関係が改善基調にあるのは確かだが、対米関係が悪化すると日本に対して融和的な姿勢に出るというのは、冷戦後における一つのパターンであって、中国側のイニシアチブという色合いが強い。

安倍政権がロシアとの関係強化に熱心な背景の一つには、ロシアを中国に対する牽制の一翼に加えたいという思惑があると見られるが、これも昨今の情勢において、現実味のある戦略といえるかどうか。

民主党政権はひとまず別として、小泉政権以降の自民党政権は、中国に対する牽制と対抗意識の強い安倍、麻生太郎路線と、中国との間でより安定的な関係構築を志向する福田康夫路線との間で揺れてきた。第一次安倍政権以来の対中牽制色の強い「大戦略」が日本の自尊心を高めたことは間違いないだろうが、それは別として、現実の外交としていかなる意味があったのか、そろそろ検証してもよい時期に来ているのかもしれない。

 

強力な政権基盤、力強い外交?

「安倍外交」を評価する際によく耳にするのが、「強力な政権基盤があるので、能動的で力強い外交が展開できている」という解説である。確かに第二次政権における安倍首相の旺盛な外遊は、「ねじれ国会」等々から解放されていればこそ、可能になるのであろう。

とはいえそこで問題になるのは、その強固な政権基盤を用いて、一体何を達成するのかという点である。第一次政権であれば、右派から支持を受ける安倍首相だからこそ、その反発を抑えて対中関係の改善に踏み出すことができたと評されたものであった。

そのような観点から見ると、安倍首相は弱体な野党にも助けられ、第二次政権では強力な政権基盤と7年近い時間を手にしたわけである。だが、「安倍外交」がどのような外交課題に向けてその政治的な資産を注ごうとしているのか、あるいは注ごうとしてきたのか。焦点が定まらないという印象がぬぐえない。

もちろん、安倍首相にとって北朝鮮による拉致問題は年来の課題であり、外相を長くつとめた父・晋太郎が手掛けた日露関係も、思いの深いテーマであるに違いない。

しかし、これらの課題に向き合う様子を見ていると、北朝鮮問題を解散の理由に挙げた「国難突破解散」(2017年10月)や、この度の参議院選挙に向けた目玉づくりの色合いが濃かったロシアとの平和条約締結に向けた交渉など、内政における権力基盤の強化に外交課題を用いる傾向が顕著である。

ありていに言えば、憲法改正が行き詰まると北朝鮮、それも見通しが立たないと今度はロシアといった具合に見えてしまうのである。