「安倍外交」とは何だったのか…政権7年間の真価が今問われつつある

結局、「外交での成果」は上がったか
宮城 大蔵 プロフィール

「地球儀を俯瞰する外交」とその系譜

さて、「安倍外交」の看板と言えば、「地球儀を俯瞰する外交」である。在任期間が7年近くともなれば、各国首脳の中でも相応の「顔役」である。各国首脳が苦慮するトランプ米大統領とも良好な関係を築く一方、世界各地で相手国の首脳と握手を交わす姿は、さすがに堂に入ったものである。それが底堅い政権支持率の要因になっていることは確かであろう。

安倍首相自身が、「結果じゃない。「動いている」感覚が大事だ」(『毎日新聞』2016年7月12日)と言うが、華やかな外交活動は、「動いている」感覚を国民に印象付ける上で絶大な効果を持っている

この「地球儀を俯瞰する外交」の系譜をたどってみれば、第一次政権時に掲げた「価値外交」「自由と繁栄の弧」にたどり着く。日本として自由や人権、民主主義といった「価値」に重きを置き、そのような価値を共有する国々と連携を深めていこうという外交方針であり、具体的には日本からASEAN諸国、インドへと、ユーラシア大陸の南の縁に沿って「弧」を描くように日本が連携すべき国々が広がるという図式である。

そこで除外されることになるのが中国である。共産党統治の下で「価値」は共有されないし、「弧」によって包囲されるようにも見える。日本の外交当局はそのような意図を否定したが、中国側に疑念が募ったことは間違いなかろう。

〔PHOTO〕Gettyimages

第二次政権では、「価値外交」や「弧」といったフレーズはそれほど用いられなくなったが、中国に対して牽制する色合いの強い外交方針は引き継がれたといってよかろう。アメリカとは従来以上に関係を強固なものとし、その上で地球儀を俯瞰し、台頭著しい中国を牽制する含意を持つダイナミックな戦略を展開する。このような「安倍外交」の基本的な方向性は、日本の世論に心地よい自信を与えるものであった。

中国台頭にどう向き合うか

とはいえ、その種の大戦略に基づいて現実の外交が進むのかといえば、そこは冷静に見る必要があるだろう。この間、日本とインド、オーストラリアなどとの連携が強まったのは確かかもしれないが、両国ともに対中関係には細心の注意を払っており、対中包囲といった意識が共有されていると言えるのかどうか。

 

その傍らで中国は急速に存在感を高め、米中摩擦の行方に世界が固唾をのむ様子は、あたかも米中の「G2」時代が到来したかのようである。そして昨今のようにアメリカがいざ、本腰を入れて中国を抑えにかかると、日本としては対応に苦慮するというのが現実であろう。