提供:CHEN Chong博士

磁石にくっつく貝? 深海研究の鍵を握る「奇妙な生物」が絶滅危機!

そこに隠された「深い意味」とは?

鉄の衣にウロコ脚……なんだこれ。

この異形。実在する深海生物、スケーリーフットである。

【写真】スケーリーフット
  スケーリーフット 提供:CHEN Chong博士

スケーリーフットは、深海の熱水活動域だけに生息する腹足類。腹足類というのはいわゆる巻貝のことで、貝殻と軟体部でできている。身近な例で言えば、カタツムリやサザエも腹足類だ。そう言われてみると、彼らと似ている気もする。

スケーリーフットを見て異形と感じるのは、なんといっても鱗(ウロコ)状の軟体部だ。英語で鱗は「scale」、脚は「foot」。スケーリーフット(Scaly foot)を直訳すると「鱗脚」で、なんと見たまんまの名前だ。

ちなみにスケーリーフットは俗称にすぎない。学術的にはChrysomallon squamiferumという種名があり、ウロコフネタマガイという和名も持っている。

鱗脚とともに目を引くのが、全身を覆う「鉄の衣」だ。

鉄の衣の正体は、鉄と硫黄の化合物であるパイライトとグレイジャイト。グレイジャイトは磁性を持つため、スケーリーフットは磁石に吸い寄せられる。さらにこの鉄の衣、0.18 mmの薄さでありながら、その複層構造から打撃や引き裂きに対して強い強度を持つ。某国の軍部が兵器開発に取り入れようとしたとも伝えられている。

もう1つ特筆すべきは、食事の方法。軟体部にある「食道腺」と呼ばれる器官に飼う微生物からエネルギーを得ている。なんと口から食事をする必要がないのだ。

そんなスケーリーフットが今月、絶滅危惧種として登録された。

深海生物が絶滅危惧種に登録されるのは極めて珍しい。いったいなぜ、スケーリーフットがその対象となったのか? 

そこには深海調査の歴史と、人間の欲望が渦巻いているのだった。