どうせ出すなら「前のめり」に

そこで、双方譲り合う形で学年で決めた宿題については、出すこととしました。
不本意ではありますが、宿題を出す以上、こちらもきちんとやりたいし、子どもたちが「前のめりに」なって取り組めるようにしたいと思いました。

例えば、漢字ノートでは、子どもたちの競争心に火をつけようと思いました。単なる、漢字の書き取り、熟語調べ、短文作成に終わらせるのではなく、そこに競い合う要素を加えようと考えました。

それが、「漢字ノートランキング」です。

子どもたちが提出する漢字ノートをぼくが採点します。毎週提出されるごとに、トップ10を発表します。すると、週ごとに順位が変わったり、圧倒的な強さを誇るレジェンドが現れたり、はたまた、意外な新星が現れたりします。
すると、子どもたちは、トップを目指し真剣になり、ライバルに勝とうと必死になります。
 
また、ぼくの採点の傾向を考えて、子どもたちが工夫し始めます。言うなれば、フィギュアスケートみたいなものです。どのように字を書けばいいのか、採点にどんな傾向があるのかを子どもたちは考え始めます。

親に「やりなさい」と言われてやる気になる子はいない Photo by iStock

すると、今度は森田太郎に勝ちたい。一切文句を言わさず、満点を取ってやろうとする子どもたちが「前のめり」になり始めます。
中には、「先生、これ、絶対パーフェクトだから!」と言ってノートを提出してくる子もいます。ですから、「えー、なんで?」とぼくの採点基準について聞きにくる子も出てきます。

そうなれば、最高です。そこで、初めて様々な説明ができますし、子どもたちは心からそれを聞きたいと思っていますから。前のめりで聞いてくれます。こうして初めて、宿題が「やらされている」ではなく、自ら「やりたい」ものに近づくわけです。

子どもは真剣になりますから、こちらも真剣勝負です、子どもたちのノートは、4月当初は40人分採点するのに、4時間くらいかかります。全力で赤を入れますから。いい加減に書いていれば、ひらがなでさえ赤を入れます。子どもたちに宿題を課したのであれば、その成果物に対して真剣に向き合うことこそフェアプレーです。

また、漢字ノートは、習っていない、知らないということで個人差が出にくい課題です。時間をかけて調べ、丁寧に字を書けば、納得できるノートに仕上げることができます。

競争心とともに、どうしたらパーフェクトを達成できるのかという攻略性も芽生えてきます。すると、保護者から「家で集中して漢字ノートをやっています。」という声が聞こえてくるようになります。親が「宿題やりなさい」と言わなくても、すでに火がついていますから子どもが自分から宿題に取り組むようになってきます。