大宮エリーさんが語る、青春の「漠然とした孤独」を癒す10冊

たとえ親友がいなくたって
大宮 エリー

孤独を癒やしてくれた本

詩集『二十億光年の孤独』も、青春時代の理由のない漠然とした孤独を癒やしてくれた作品です。谷川俊太郎さんの詩を読んで、そうした孤独を感じているのは自分だけじゃないと知ることができました。

谷川さんと対談をさせていただいたこともあります。そのときに、谷川さんと私には、学校になじめなかったなど、いろいろと共通点があることが分かりました。

 

実際、中学、高校と私には親友と呼べる人がいませんでした。しっくりくる人がいなかった。

ところが『哀しい予感』に登場する、ゆきのというおばさんにはしっくりきました。物事は何でもかんでもはっきりと割り切ればいいわけではない、という彼女の生き方に深く共感したのです。物語のなかで、初めてそういう人に出会えて嬉しかったです。

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はてしない物語』は、現実の世界の話と物語の世界の話で文字の色を変えるなど、本としての仕掛けにぞくっときました。読んでいるときには自分が本当に物語の世界に入っていってしまうような恐ろしさを感じましたが、最後にはこの物語こそが現実であるように思えてきます。児童文学という枠をはるかに超えた哲学書ですね。

成りあがり』は会社を辞めて貧乏だった時代に読んだので、とにかく矢沢永吉さんの境遇に共感しました。読んでいる間中、涙が止まらなかった。

矢沢さんは、貧しさゆえに周囲からさんざん自分の尊厳を踏みにじられてきました。「お前の家はこういうの食えないだろう」と友達からケーキを投げつけられ、ほっぺにくっついたそれを舐めたこともあったそうです。

タイトルの「成りあがり」は、単に金持ちになることではなく、踏みにじられた尊厳を自ら回復することなのだと私は思っています。

ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』の著者、ナンシー関さんにはお会いしたことはありません。しかし、彼女が仲良くしていたある店の女性オーナーに、「ナンシーさんに似てる」と言われたことがあり、読んでみたんです。すると、似ているところはないけれど、こんなに短くて面白い文章を書ける人がいたのか! と驚嘆しました。まさに短刀の切れ味でした。

この本では、読者が記憶を頼りに描いたカエルや鉄腕アトムのイラストに、ナンシーさんがつけるコメントが秀逸です。あんまり面白くて、これまでいろんな人に貸しましたが、間違いなく返ってきません。(取材・文/緒形圭子)

▼最近読んだ一冊

「茨木さんは広告代理店時代『自分の感受性くらい』という詩に感動して以来のファンです。この本は彼女の日記から食卓が再現されています。こんな風に好きな食事を作って日記を書いて暮らすことが今の私の夢です」