不安定なフリーランスVS安定した会社員、メンタル良好なのはどっち?
雇われない働き方から学べること不安定なフリーランスと、安定した会社員、両者のメンタルヘルスを比べたらどのような結果が出るのだろう。HRデータラボ チーフアナリスト(顧問)の兵藤氏が、数々の調査をもとに解説。
新しい働き方の一つとしてのフリーランス
民間企業が働き方改革を掲げ、テレワークの導入や副業解禁等が始まっている。
政府も、2019年4月に働き方改革関連法の施行をスタートさせ、同年6月にまとめた成長戦略で副業・兼業を促すとし、新しい働き方を後押しする社会的な流れが加速している。
新しい働き方には2つの潮流があるように思われる。
1つは従来のように新卒採用から定年退職まで1つの会社に勤め上げる『一対一の関係』から、転職や副業のように一人が複数の会社で働く『一対多の関係』への変化。
もう1つは会社員として雇用される側から、起業家や個人事業主、フリーランスとして自分で自分を雇う側への移行である。
つまり、会社員として勤務する人もフリーランス的な働き方と無縁ではなくなる時代が到来するのではないだろうか?
フリーランスとは何か?
フリーランスと一口に言ってもそのイメージは個々人によって大きく異なる。
フリーランスに専門性の高いプロフェッショナルのようなイメージを持つ人もいるだろうし、企業に帰属しながら空いた時間を副業として働く人や主婦が家事・育児と両立して働く主婦をイメージする人もいるかもしれない。

フリーランスを一概に捉えることは難しいが、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会では、フリーランスを「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」と定義し、フリーランスとは組織に帰属せずに働いている人と捉えることができそうだ。
このようなフリーランスの数は増えているのだろうか?
フリーランスの定義の曖昧さもあり、それぞれの調査で異なる結果となっており、増えているとも減っているとも言えない。
例えば、総務省「労働力調査」によれば、全就業者における自営業主の割合は、2018年は8.0%(535万人)であり、50年前の1968年の19.7%(984万人)から半減している。
ただ、「労働政策研究・研修機構(JIL)の高橋氏が試みた推計」では、労働力調査で把握されない自営業主あるいはそれに類する雇用でない者は467万人に上り、具体的には労働オンライン・プラットフォームを通じて仕事を得る人の数を調査していないという指摘がある。
また、ランサーズ社(クラウドソーシングサービスを提供)の「フリーランス実態調査」によれば、2015年は913万人だったフリーランスは、2019年には1,087万人と約174万人が増加していると推計されている。
なお、総務省「就業構造基本統計調査」では、本業が雇用者で副業を持つ者は、2017 年は222万人に対し、2002年は198万人だった。15年で副業者は約24万人増えており、会社員の副業化が徐々に進んでいることがうかがわれる。