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不登校、高校中退「生きにくい私の人生」を変えた、10年間の山暮らし

元・山小屋ガールの現在地

不登校、高校中退…そして現在

私は現在、ライターとしてwebメディアや雑誌に文章を書くことで生計を立てている。年齢は35歳だが、ライターになったのは34歳のとき。つまり昨年だ。

23歳から33歳までは北アルプスの山小屋で働いていた。山道を数時間歩いて(登って)ようやく到着する、登山者向けの宿泊施設だ。

当然ながら通える距離に集落はなく、物資はヘリ輸送、スタッフは住み込み。なぜそんなワイルドな職場で働くことになったかと言えば、完全に成り行きだ。心の調子を崩して会社を辞めてしまい、山小屋経験者の幼なじみに勧められて働いてみたら、あれよあれよと10年続いてしまったのだ。

しかし昨年、「書くことを仕事にしたい」という夢を捨てきれずライターに転身。今年の6月には山小屋での体験を書いた本『山小屋ガールの癒されない日々』を上梓した。

私は本に「山小屋に行ったことで人生が変わった」と書いた。それは、仲間や伴侶と出会った(私は夫と山小屋で出会っている)とか、山小屋での経験があったから出版が叶ったとか、傍目にわかりやすい変化だけを意味するのではない。

山小屋での10年でもっとも変わったのは、私自身の性格と価値観だ。仕事観、人生観、結婚観。他人や社会への見方も、山小屋にいる10年で大きく変化した。もちろん、山に行ってすぐにパッと変わったわけではなく、10年かけてじわじわ変化していった。

私の人生は挫折の連続だった。まず、中二で学校に行けなくなった。自分の意思で不登校を選択したのではない。どうしても行けなかったのだ。せっかく進学した高校も中退。10代後半から精神科に通院し、専門学校卒業後は就職に躓いた。思うようにいかない人生を肯定したくて、「みんなと同じ生き方になんて興味ないもんね」と強がり、人から舐められないよう振る舞う人間になった。

だけど、山小屋にいる10年の間に少しずつ、「人並み」ができない劣等感、そして自信のない自分を守ろうと必死に取り繕っていた自意識が薄れていった。

これまでに出会ったことのないさまざまな人たちと出会い、さまざまな生き方に触れたことで、「人間の生き方に優劣はない」という価値観を持つようになったからだ。