# 政治・社会

パキスタンで腎臓移植手術を受けた日本人の悲劇

臓器移植の闇を追って・その1
高橋 幸春

海外で移植を受ける場合、「日本国内の専門病院で移植の為の検査を受けて頂きます。徹底した検査を行い、手術に於ける禁忌事項や、リスクが無いか診断」と記載され、渡航に先立ち事前に検査を行う病院の存在を示唆している。

移植される腎臓は「20から30歳の健康」なドナーから摘出されたもので、「40人に1人なれるか否かの厳しい基準をパスした」者だけだと記述されていた。

 

私は早速、このサイトに2つの質問を送った。

1点目は、パキスタンのサイトから知らされた移植費用と、日本側のサイトに掲載された費用とでは大幅に異なっている。その理由を教えてほしいと頼んでみた。

2点目は、パキスタンで移植を受けた日本人レシピエントから直接、話を聞きたいと依頼した。

結果を先に述べれば、二度ほどメールを送ったが返信はなかった。

パキスタンルートは、明らかに違法

返信がなかった事実をパキスタンの斡旋組織に伝えると、すぐに返信があった。

「正直に言って、日本人患者がいくら支払ったかを知らない。日本側の斡旋組織代表は数回にわたって患者とともにパキスタンに来た。私たちは患者との直接的な接触を持っていなかった。たぶん彼は15万ドルを患者から受け取った。私はそれに関与していない」

その上でパキスタン側は直接交渉を私に持ちかけてきた。そして新たにトルコでなら8万5000ドルで移植が可能と連絡してきた。パキスタンでテロ事件が発生し、空港が閉鎖されたことが影響しているのだろう。

このシンジケートはパキスタンだけではなく、トルコにも移植手術に対応できる病院と、ドナーを用意できる組織のようだ。

メールの最後には、「臓器売買は世界中で禁止されていると理解してほしい。私はあなたに機密情報を与える。どうぞ、それを誰にも広めないでください」とあった。

パキスタン、トルコでの外国人に対する移植は不法ではないのか、ドナーとレシピエントとの間で「謝礼」をめぐるトラブルは起こらないのか、私は確認を求めた。

「実際、あなたはドナーから腎臓を買うことになる。もちろんそれは法律で禁止されている。しかし、私たちはすべての問題を取り除く。ドナーとの間でトラブルが発生しないことを、私たちは保証する」

パキスタン側から紹介された日本側のエージェントのサイトには「世界で最も安全で、唯一その国の法律に則り」とも記載されているが、パキスタンルートは、明らかに違法であることを本人自らが認めているのだ。

臓器移植後、意識不明に

日本からの渡航移植は野放し状態にあるといっても過言ではない。

国際的な臓器移植シンジケートは、私に7人の日本人を移植したと連絡してきたが、私はそのうちの4人の所在先をつかみ、3人に直接話を聞くことができた。

日本海側のある地方都市に住む60代の山川武さん(仮名)は、1月末にパキスタンにたったひとりで向かった。