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7割の病院がじつは赤字!「瀕死の医療機関」を救う新しい稼ぎ方

厳しい環境を生き抜く「戦略」とは
鈴木 尚之 プロフィール

増えてきている医療機関の倒産

人々が生活する上で必要な病院は、かつて、戦略や計画がなく、また仮に赤字であっても、金融機関からの融資を受け続けることができていました。

赤字病院を例えるのであれば、「今後収入を増やす計画を立てずに、月10万円のアルバイト代と、ノンバンクからの借り入れで港区の一等地に住んでいる人」というイメージです。

 

しかしながら、少子高齢化や人口減少等の環境変化、財政赤字を背景とした度重なる診療報酬の改定等、医療機関を取り巻く環境は大きく変化するとともに、金融機関側の経営の厳しさも相まって、地域に必要とされる適切な医療を提供できなくなってきた医療機関の中には、金融機関からの融資が打ち切られるケースも出てきています

実際に帝国データバンクの「2018年医療機関の倒産動向調査」によると2018年の倒産件数は40件(前年比60%増)。そのうち病院は3件、診療所は14件、最大の負債額は東北の医療法人(病院を2件経営)の約61億6,400万円でした。病院の倒産件数も増えていることが、データからも分かります。

「医療で収益をあげてはいけない」という誤解

これらの現状を踏まえ、病院も、自らを取り巻くマーケット動向や競合医療機関等を分析したうえで、戦略や計画を立てる必要に迫られていますが、一筋縄ではいかないのが病院経営です。

日本では、国民が良質かつ適切な医療を効率的に受けられるよう「医療法」が制定されており、その中で病院の経営者(理事長)に就任できるのは医師免許を保有している者と定められています。病院経営者に話を伺うと、「患者の病気を治すために医師を志した」という方がほとんどで、初めから経営の専門的な知識を持っている方は珍しいと感じます。どちらも多忙を極める医業と経営の両立は難しく、地域に良い医療を提供することが優先され、戦略や計画は後回しとなるケースが多く見受けられます。

また業界内では、「医療で収益をあげてはいけない」という誤解も生じています。
先述の医療法において、公益性、非営利性、継続性が基本的な考え方になっており、具体的には出資者への配当や株式会社による病院経営は原則、禁止されています。そのため、そこから「医療で収益をあげてはいけない」といった誤解が生まれたようです。

しかし、同時に医療の効率的な提供についても繰り返しうたわれています。「医療行為」という社会的な責任を継続的に果たしていくためにも、医療機関が一定の収益を確保することは必要不可欠です。今後は医療業界においても一般企業と同じように、環境の変化に適応しながら経営戦略を立てることが、現在の病院では医療行為を続けるために大切になっています。