「大復活」天才・石川遼と、ライバル・松山英樹の知られざる物語

まだ勝負はこれから
週刊現代 プロフィール

対して、石川に遅れること1年、'14年にPGAツアーに本格参戦した松山は、順調そのものだった。180㎝のがっしりとした体格はアメリカでも十分に通用し、'17年には世界ランクを2位まで上昇させる。

気づけば松山は、かつてどうあがいても手の届かないほどの才能を見せつけていた石川に追いつき、追い越した。

結局、石川は5年間のPGAツアー挑戦のすえ、シード権を失い、失意のまま帰国。ライバル物語はすっかり雌雄が決したかのように思われた。

Photo by iStock

舞台はオリンピックへ

帰国後も、石川の腰痛はなかなか治らず、'18年は選手会長を務めながらツアーで1勝も挙げることができなかった。

このまま腰が治らなければ、自分は引退するしかない――。悩める石川は、ここで一つの決断を下す。代名詞だった「フルスイング」を抑え、腰へのダメージの少ないフォームへの改造に着手したのだ。

「負担こそ減ったものの当初はボールの軌道が安定せず、ときには100ヤード近く曲がってしまうこともあったそうです。でも、クラブに鉛を貼るなど自分一人で創意工夫を繰り返し、どうにか本人が納得のいくところまで辿り着いた」(前出・協会関係者)

 

今年に入ってからは毎週3日、90分間の筋力トレーニングを繰り返し、腰痛をカバーする筋肉の増強にも努めたという。

〈まだ、勝負はついていない〉

天才は持ち前のセンスに基づく技術を、ゼロベースで見直そうとしていた。

そうして試行錯誤の成果を試す機会として、石川が焦点を合わせていたのが今回の日本プロゴルフ選手権だった。

「日本プロでは、ドライバーのショットがかなり良くなっていました。飛んでいたし、左右に曲がることもほとんどなかった。やはり腰の痛みがなくなり、しっかりとスイングできるようになったことが大きいのでしょう。

くわえて、後半の9ホールとプレーオフでは、勝敗を左右するような長めのパッティングをことごとく沈めていました。

勝ち負けがかかった決定的な場面であれだけの技術とメンタルを見せるのは、やはり彼の持ち前のセンスによるところが大きい。

腰の痛みが軽減したことがドライバー以外にもいい影響を与えているのでしょう」(プロゴルファーのタケ小山氏)