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北朝鮮も中国も…アメリカの外交は結局「トランプ再選」の策略だった

そして、日本はますます振り回される

米朝首脳会談と、その「裏番組」

先月末、日本で主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開催されている最中、米国では2日間にわたり、2020年米大統領選挙に向けた民主党候補による最初のテレビ討論会が行われていました。

言うまでもなく、討論会はトランプ大統領と来年一騎討ちを果たすことになる候補が、国民にアピールする絶好の機会です。実は米国民の関心も、G20サミットより、この討論会に向けられていました。

 

トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長の電撃的な米朝首脳会談が話題になりましたが、大統領は民主党討論会に合わせて南北軍事境界線をまたぎ、「歴史的な瞬間」をアピールすることで、米国民の関心を取り戻そうとしたとみてよいでしょう。

会談実現の一因には、自分が常にテレビの映像を支配していないと落ち着かないトランプ大統領のパーソナリティーもあったのかもしれません。

1回目と2回目の米朝首脳会談での言動と比較すると、今回の経緯からは、トランプ大統領が大統領選をかなり意識していることが伺えます。

トランプ大統領は今回、非武装地帯で「私が大統領に就任した時はひどい状況だった。韓国や世界、北朝鮮にとってとても危険な状況だった」と指摘し、自分がアジアの緊張緩和を実現したのだ、というメッセージを発信、成果を強調しました。

「民主党のオバマ政権にはできなかった『偉業』を自分は成し遂げた。テレビ討論会に出ている民主党候補にはない外交成果を上げた」というメッセージを有権者に発することを、トランプ大統領は狙ったとみられるのです。

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ミサイルはアメリカに届かなければOK

トランプ大統領はこれまで、支持者を集めた集会で「北朝鮮は核実験もミサイル発射実験もしていない」と訴えてきました。今年5月に北朝鮮が短距離弾道ミサイル発射実験を行った後も、同様の発言を繰り返しています。

筆者はトランプ集会でこの主張を聞くたびに、トランプ大統領が言う「ミサイル」はどのようなものを想定しているのか疑問に思ってきました。今回の米朝首脳会談で、この謎が解けました。

というのも、トランプ大統領は会談後、「小さなミサイル実験はどの国でもやっていることだ」と述べたのです。ちなみに、大統領は集会や自身のツイッターで、短距離弾道ミサイルのことを「小さな武器」と呼んでいます。

つまり、トランプ大統領が支持者の前で言う「ミサイル」とは、中・長距離弾頭ミサイルのみを指していたことになります。この事実が示唆するのは、トランプ大統領自身も、そしてその支持者も、米国本土に届かない短距離弾道ミサイルは「ないも同然」と考えている、ということです。

こうした米国の本音は、短距離弾道ミサイルの脅威にさらされ続けてきた日本人にとっては衝撃的ですが、その点は今回あまり報じられていません。