【ジェーン・スー×中野信子対談 第1回】

コラムニストのジェーン・スーさんと、脳科学者の中野信子さんが、女であることで感じてきたモヤモヤを語り合った対談集『女に生まれてモヤってる!』(小学館)。

同書の中から3回にわたって、「女らしさとは」「女の幸せとは」に対するお二人の答えをご紹介していきます。第1回の今回、テーマは「やっぱり美人は得なのか?」。悩み相談のエキスパートと脳科学者は、いったいどんな答えを導き出したのでしょうか。

※以下、『女に生まれてモヤってる!』より一部を抜粋し、著者の許可のもと再構成したもの。

「若さ」と「美人」は貯金できない

中野:「若さ」や「美人」のように、一般的に「得」と世間にみなされているものは全部、長期的には使えない価値なんだよね。若さ貯金って絶対に増えることはない。ずっと減り続けていくものだと誰でもわかる。減り続けるしかない貯金に頼る戦略で人生どこまで行けるのかな。

スー:短期的に得を取れる場面もあるけれど、目減りしていく資産に自分の存在意義や価値を見出すこと自体が危ういし、長期的には「損」に転じるよね。目減りする武器には頼らない戦略を模索するほうが、私は得を得やすいと判断するけど。今ってそういうことに気づきにくい社会だと思う?

中野:気づきにくいとは思わないですね。だって私たちは現に気づいたわけだし。でも、気づかないでいる人を気づかせないままでいさせようという悪質な仕組みは、もしかしたらあるのかもしれない

たとえば、「若くて魅力的な女」という価値で勝負している人たちをターゲットとしたもの、彼女たちが飛びつくようなアンチエイジング商品が市場ではたくさん売られている。若さや美といった貯金が目減りするのを少しでも防ぐためのツールで儲けている人たちもいる。

カップルの関係性において常に自分がイニシアチブ(主導権)を取りたいがゆえに、あえてそういう価値に重きを置いて女を選ぶ男もいる。そういった複合的な要因があるかなとは思いますね。

ただ、いずれにせよ若さや魅力を維持するためには、ある程度の経済力が必要という残酷な現実がある。若さや美とは別の価値を自分の中で育てていったほうが、長期的に見たときには得が大きいと私は思います。