6年待ちの寿司屋、2年待ちの居酒屋…「超・予約困難な店」を直撃!

いくらなんでも…? 
週刊現代 プロフィール

評判の店を訪ねた客が、ネット上で料理を褒めちぎり、さらなる評判を呼ぶ。それ自体はおかしなことではないかもしれないが、前出の柏井氏は首をひねる。

「メディアで話題になった店や、ミシュラン、食べログなどで評価された店に行って、『美味しい』と絶賛する人が増えています。

他人の評価を鵜呑みにしてばかりで、自分がその料理を本当に美味しいと思っているのか、考えていない人が多いのではないでしょうか。

お客さんが料理を手放しで称讃するから、シェフも自分にひれ伏す客だけを相手にするようになる。こうして、シェフとお客さんの仲良し化がどんどん進んでいきます。

挙げ句の果てには、シェフと撮ったツーショット写真をネットに上げて自慢するお客さんもいて、シェフもまんざらではない様子。お客さんとシェフが仲間になってしまうから、料理の批評も、批判も生まれないのです」

予約の取れない店に席を持っているということ自体が、客の自尊心をくすぐり、店をほめそやす空気ばかりが醸成される。いい大人ならそんな空気の中で酒を飲みたいとは思わないだろう。

 

「旬」も大切なのでは

予約待ちの行列ができるのは、料理屋ばかりではない。なんと買うのに5年待つというパン屋が、兵庫県丹波市にあるのだ。

幻とも思えるそのパン屋「ヒヨリブロート」を一人で営む塚本久美氏は、パンづくりの巨匠・志賀勝栄シェフのもとで修業を積んだ経歴の持ち主。

著書『月を見てパンを焼く』では、「月の暦」にしたがって行われる、塚本氏独自のパンづくりについて語られている。

「新月から満月を越えて5日間の、月齢ゼロから20の間は『パンをつくる時間』。満月の6日後から新月の、月齢21から28の間は、次のパンづくりに向けて食材探しの旅に出かけます」

こうしたこだわりゆえに、一度に少量しか製造・販売できないのだ。だが、パンとは「日常の食」の最たるもの。何年も待たねばらないことには、疑問を禁じ得ない。

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