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さらばVW・ビートル、いま明かされる「ヤナセ」との知られざる物語

「カブトムシ」の愛称で親しまれた
御堀 直嗣 プロフィール

無駄を省きながら、安心して日々の暮らしに使えるクルマが初代ビートルだったのである。

当初の価格は、スタンダードで74万円、デラックスで80万円と記録されている。当時の大学新卒の給与が7560円であったので、その10倍もの価格であったが、それでも初年に100台以上が販売されたという。

 

国産の庶民のためのクルマとして軽自動車が現れるのは、1950年代後半に入ってからで、その価格は40万円前後した。その2倍近い価格であったとしても、ビートルの性能は十分な価格的価値を備えていたといえるだろう。

ビートルで得たフォルクスワーゲン人気が、次のゴルフへ伝承された。そして、人々の記憶の中に初代ビートルの残照が残るなか、1998年に2代目のニュー・ビートルが登場する。その進化型として、3代目のザ・ビートルが2011年に誕生し、今日に至る。

人気はゴルフへと受け継がれた/Photo by iStock

2015年にフォルクスワーゲンは、ディーゼル車の排ガス偽装問題を起こし、世界的に評価を落とした。だが、当初日本では、「フォルクスワーゲンがそのような手を汚すことをするのか」と、信じられない思いを口にする人が多かった。

それほど、初代ビートルが日本人に与えた安心と信頼は深かったのである。そして今日なお、輸入車販売で上位に位置する自動車メーカーであり続けている。

単にビートルという車種に止まらず、フォルクスワーゲンという自動車メーカーそのものへの信頼と愛着を日本に浸透させたことこそ、ビートルの功績と言えるだろう。