中国「世界最大」三峡ダムの崩壊リスク…当局説明を信じ切れない人々

飛び交う噂、消えない不安
北村 豊 プロフィール

時間とともに決断できなくなる

上述した内容から分かるのは、中国政府が国力を挙げて建設した三峡ダムには寿命があるということ。寿命が50年か、70年か、あるいは100年かは分からないが、三峡ダムが重力式コンクリートダムである以上は、コンクリートや鉄筋などの寿命が全てを決することになのだろう。

ダムの寿命が尽きるまでに、対応策を決めることが出来れば良いが、それが出来ぬままにダムが崩壊するようなことになれば、その被害は甚大なものとなる。

三峡ダムのすぐ下流には常住人口が417万人の宜昌市があり、その先の長江下流には湖北省の省都・武漢市(常住人口1110万人)、江蘇省の省都・南京市(常住人口844万人)、さらに下流には上海市(常住人口2324万人)がある。

ある日、突然に三峡ダムが崩壊してダム上流の貯水が下流へ流出すれば、数十万、数百万の中国国民が命を失いかねない。ダム上流の貯水が流出すれば、下流に甚大な被害が出るだけでなく、上流でも堤防の流出や土砂崩れなどの計り知れない被害が出るだろう。

 

王維洛氏は2016年11月に、「三峡ダムを取り壊すなら早い方が良い。遅くなれば取り壊せなくなる」と題する文章を発表した。

その主旨は、今、取り壊しの決断を下せないなら、将来の影響はますます深刻なものとなり、必要となる資金も増大して取り壊しは不可能となる。

現在のところ、三峡ダムの貯水湖に堆積している土砂は19億トンで、長江の水流はこれらを海まで運ぶ力を持っているが、時間が経てば経つほど土砂の堆積量は増大し、30年後には40億トンを超えて身動き取れなくなる。無理やり土砂を海へ流そうとしても、土砂が下流に堆積して流れを遮断することになるから、三峡ダムは取り壊せなくなるというものだった。

今後も三峡ダムの動向を注視することが必要のようだ。

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