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中国「世界最大ダム」の崩壊リスク…当局説明を信じ切れない人々

飛び交う噂、消えない不安

突然の観光停止

中国・長江(別名:揚子江)中流域に位置する湖北省の宜昌市夷陵区三斗坪にある三峡ダムは、重力式コンクリートダムで、堤高(ダム高)は181メートル、堤頂長(ダム頂上部の長さ)は約2310メートルである。

重力式コンクリートダムは、主要材料であるコンクリートの重量を利用して、ダムの自重で水圧等の外圧に耐え、貯水機能も果たすように作られたダムである。

三峡ダムには32台の70万キロワット発電機が設置されており、それによって提供される電力の合計最大出力は2250万キロワットで、年間発電総量が1000億キロワット時に上る世界最大の水力発電ダムである。

「三峡ダム建設プロジェクト」は1994年12月14日に正式な起工式を挙行して着工したが、実際は1993年初旬に工事に着手していたから、2009年末の完工までに丸17年の歳月を費やして完成した。(ダム本体の工事は2006年5月20日に竣工していた)

 

その人造の三峡ダムから直線で34キロメートル離れ、自動車なら1時間20分の道程に所在する夷陵区黄花郷新坪村には天然の「三峡大瀑布」がある。

原名を「白果樹瀑布」と呼ぶ三峡大瀑布は、高さ102メートル、幅80メートルの滝で、中国十大名瀑の第4番目に数えられ、中国の“国家4A級風景区(国家二級景勝地)”、に指定されている。当該景勝地を管轄しているのが「宜昌三峡大瀑布風景区有限公司」である。

7月5日、宜昌三峡大瀑布風景区有限公司は次のような三峡大瀑布風景区の一時営業停止に関する文書を、宜昌市観光カード事務室へ通知した。宜昌市観光カード事務室は、観光客が三峡大瀑布区を訪れる際の入場券となる観光カードを所管している。

《宜昌三峡大瀑布風景区有限公司》
三峡大瀑布風景区の一時営業停止に関わる通知
宜昌市観光カード事務室御中
三峡大瀑布の上流で行われている工事が流れをせき止める段階に入ったことにより瀑布の水流を断つことが必要となり、三峡大瀑布風景区は2019年7月6日から7月13日までの1週間営業を一時停止します。営業時間の再開は別途通知しますが、営業停止期間は観光カードの旅客は受け入れできませんので、貴事務室におかれてはよろしくご協力の程をお願い致します。
2019年7月5日

上記の文書が通知されたことで、三峡大瀑布風景区が一時的に閉鎖されることが世間に知られることとなった。

これに敏感に反応したメディアの記者が直ちに宜昌三峡大瀑布風景区有限公司へ電話で問い合わせたところ、電話に出た職員から次のような回答があった。

「一時営業停止の理由は上流にある小型ダムの建設工事が最終段階にあるから大瀑布へ向かう水流を止める必要があるためである。7月14日に営業を再開できるかは不明なので、13日以前に問い合わせて欲しい。」

また、三峡大瀑布風景区の一時営業停止は過去にも同様のことがあったかと質問したのに対しては、同風景区が営業を開始して以来初の事態であるとのことであった。さらに記者が三峡ダムに関する巷(ちまた)の噂を信じるかと質問したのに対して、「それは三峡集団に聞いてくれ」と同職員は素っ気無く答えたのだった。