「脱サラして『タピオカドリンク』店」が絶対に失敗する理由

飲食のプロが警鐘を鳴らす

「タピオカドリンク」ブームが今なお続いている。ミルクティーに黒い大粒のブラックタピオカを入れた台湾発のドリンクは、“インスタ映え”する見た目とモチモチとしたタピオカの食感で若い女性たちの心を掴み、全国各地に展開する専門店には軒並み長蛇の列ができている。

このブームに乗じて脱サラし、あるいは退職金で開業を検討している人も多いのではないだろうか。しかし、『これからの飲食店マネジメントの教科書』などの著書がある飲食店コンサルタントの山川博史氏は「安易なブーム参入は必ず失敗する」と警鐘を鳴らす。

すでにブームはピークを過ぎた

飲食店を開業したい人にとって、確かにタピオカドリンク専門店は参入しやすい業態です。ブラックタピオカを茹でてミルクティーに入れるだけ。一般的なブラックタピオカは業務用スーパーやネット通販で入手可能だから、飲食業の経験がなくても簡単に作って販売することができます。

しかも、原価率がかなり低い。原材料はタピオカと紅茶の茶葉、ミルク程度で一杯40~50円。これを500円ほどで売っているのだから、カップやストローなどの備品のコストを含めても原価率は20%に満たない。大がかりなキッチンも必要ないため、初期投資が安く利益率が高い商売として、雨後の筍のように次々と出店しているのです。

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実際、私が主催する飲食店開業セミナーにも、脱サラしてタピオカドリンク専門店の開業を希望する受講者が見受けられました。その内の1人は、2020年6月の出店を目指して準備をすると自信ありげに言ったのです。

しかし、私は彼に「失敗する可能性が高い」とはっきり伝えました。なぜなら、すでにタピオカドリンク専門店は飽和状態に近いからです。

実は私自身、タピオカドリンク専門店を出店しようと、今年の初めに台湾に視察に出かけています。この夏に向けてオープンするつもりで台湾のチェーン店を見て回ったのですが、結果的に出店を断念しました。有名チェーン店が軒並み日本に進出しているので、今から出店していては遅いと感じたからです。 

 

台湾には国内外に数百店舗から千店舗以上の規模でチェーン展開するタピオカドリンク店がいくつもあります。彼らは日本でいち早く法人化、またはライセンス契約をして渋谷や下北沢といった若者が集う街の一等地に競うように出店しています。そして、この出店戦略こそが今回のブームの一端を担っていたのです。