児童虐待は本当に「増加」「深刻化」しているのか

死亡事例・データから徹底分析
広井 多鶴子 プロフィール

虐待による死亡児童数は減少傾向

次に、虐待による死亡事件がどれほど減少したのか見てみよう(図表3)。

虐待の集計を始めた当初、警察庁は、「心中」と「出産直後の子の殺害」については、虐待として集計していなかった。

 

だが、2003年度のデータから、これらについても虐待として集計するようになる。

これらを合わせた死亡児童数の合計は、2003〜2008年ごろが最も多く、年間100人ほどの子どもが殺害されていた。

だが、2009年以後、「虐待」による死亡児童数も、「心中」による死亡児童数も減少し、近年はかつての半分ほどである。

警察庁「平成30年における少年非行、児童虐待及び児童の性的搾取等の状況について」他より作成。図表3の「虐待」の数値は、「無理心中・出産直後以外」の数値を指す。

虐待死の4割は無理心中

このように、今日の「虐待死」には、心中も出産直後の殺害も含まれる。図表4は、その内訳である。

これによると、2003年から2018年までの死亡児童計1211人のうち、無理心中は498人(41%)、出産直後の殺害146人(12%)である。従来虐待と見なされてきたケースは半分弱であり、心中が4割を占めている。

警察庁の同上資料より作成