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「日本の働き方」を支配する“暗黙のルール”……その全貌を解明する

社会を呪縛する「慣習の束」とは何か
30年にわたった平成が終わって、令和がやってきた。

とはいえ、元号が変わったからといって、いきなり社会が変わるわけではない。たとえば昭和の時代から、正社員の数は、あまり変わっていない。

ここで「?」と思った方もいるだろう。非正規労働者が増えて、正社員が減ったのが、この30年の日本の変化だったのではないか、と。

正社員は減っていない

ところがじつは、正社員は減っていない。総務省の「労働力調査」によれば、正規従業員の数は1984年に3333万人。2016年には3338万人。つまり、ほとんど同じなのである。

たしかに、非正規労働者は増えている。1984年の604万が、1997年には1152万、2016年は2013万。激増といっていいだろう。その結果、雇用労働者に占める非正規の比率は、15%から38%に増えた。

しかし、正社員は減っていない。つまり、非正規労働者は増えたが、正社員は減っていないのだ。

それでは、増えた非正規労働者はどこから来たのか。

15〜64歳の生産年齢人口は、1995年までは増えていた。とはいえ、その後は減少傾向だ。

「65歳以上も働いているじゃないか」という人もいるかもしれない。しかし総務省「就業構造基本調査」によれば、有業者総数は1997年に6700万、2017年には6621万。つまり、働く人の総数は増えていない。

正社員は減っておらず、働く人も増えていない。しかし非正規労働者は増えている。これはどういうことだろうか。

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じつは、非正規労働者が増えた分、自営業者が減っている。

やはり総務省「労働力調査」によると、自営業主と家族従業者は、1984年には1484万だった。それが2016年には、684万まで減った。

つまり35年間に、自営業が減り、非正規労働者が増えた。しかし、正社員は減っていないのだ。

考えてみれば、この30年間、東京中心部の風景はあまり変わっていない。朝の通勤ラッシュも、オフィス街のスーツ姿も、変わらない。正社員が減っていないからだ。

だが地方都市や農山村では、風景は激変している。駅前商店街がシャッター街になり、街道沿いに巨大なショッピングモールや介護施設、宅配便の物流倉庫などが増えた。そして自営業で働いていた人々が、モールや倉庫で働くようになったのである。

この30年で、日本社会は変わった。だがその変化は、東京の大企業で働く人々が考えるような変化ではないのだ。