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自衛隊が有志連合に参加したら、攻撃に「全力で反撃できない」可能性

当てはまる法律がないから…

トランプ米政権が中東のホルムズ海峡などの安全確保のため、有志連合の結成をめざすと表明したことを受けて、日本政府は海上自衛隊の護衛艦派遣の検討を始めた。

派遣の根拠法令として、自衛隊法の「海上警備行動」の適用が有力視されるが、そもそも沿岸警備を想定した海警行動の武器使用には制約がある。

かといって、参院選挙を控え、臨時国会を招集して新法制定を目指すのは非現実的だ。見切り発車で海上警備行動による派遣を強行すれば、法の拡大解釈と現場の自衛官への責任転嫁になりかねない。

 

日本が抱えるジレンマ

米国のダンフォード統合参謀本部議長は9日、ホルムズ海峡などを航行するタンカーなどの護衛のため有志連合に加わる同盟国を、2週間程度で決定したいとの考えを示した。ダンフォード氏は「関係国と直接連絡する」と話しており、日本政府にも参加の働きかけがあったもようだ。

これに対し、野上浩太郎官房副長官は11日の記者会見で「イラン情勢について米国と緊密にやりとりしているところだ」と情報交換していることを認め、6月に起きた日本の海運会社が所有する外国船籍のタンカーへの攻撃について、「わが国の平和と安全を脅かす重大な出来事」との認識を示した。

山崎幸二統合幕僚長も同日の記者会見で「米国から参加の打診があったのか」との問いに「日米間でさまざまなやり取りをしているのは事実だ。関係国と連携してしっかり対処していきたい」と踏み込んだ。

タンカー襲撃事件の発生直後、政府の態度は今とは違った。

菅義偉官房長官は「背景を含めて予断を持って答えることは控えたい」と話し、岩屋毅防衛相も「現時点では自衛隊へのニーズは確認されておらず、部隊を派遣する考えはない」と慎重な姿勢を示していた。

つまり、トランプ大統領のご機嫌は損ないたくないが、日本と友好関係にあるイランを刺激するのも得策ではない、というジレンマを抱えていたのだ。

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それが米国による有志連合の結成表明を受けて、一転して自衛隊派遣の検討を始めたことをうかがわせる言葉に変わった。イランと天秤に掛けていた米国への傾斜がぐっと強まったといえる。