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吉本芸人「闇営業問題」ヤクザを長年研究してきた私はこう考える

世間が当事者を断罪することに反対だ

闇営業問題「4つの論点」

吉本興業の芸人らによるいわゆる「闇営業=直の営業」問題をめぐっては、いくつかの論点が混然としている。「反社」と括られる社会集団を長年研究してきた筆者独自の観点から私見を述べてみたい。

【今回取り上げる4つの論点】
(1)闇営業、いわゆる「直の営業」は、芸能界ではアウトなのか
(2)芸人らは会社外の営業をしなければ本当に食えないのか
(3)知らなくて営業したからといっても犯罪に加担したわけではない。彼らにはどの程度の社会的非難、あるいは処分が相当か
(4)闇営業の行方――闇営業厳罰化から生じる新たな危険
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(1)闇営業は、芸能界ではアウトなのか

この問題は、基本的に所属事務所とお笑い芸人の契約に終始しているのだから、当事者以外がどうこういう話ではないというのが一般論であろう。

しかし、芸能界は独特なサブカルが存在し、一般論では片付かないのではないかというむきがあるかもしれないから、現役の方の意見を引用してみよう。

芸能界のサブカルに身を置き活躍するお笑い芸人のカンニング竹山氏は、7月3日の「AERA dot.」の記事で次のように語っている。

「事務所に内緒でやるなんて、相当悪いことしやがって……」って思っている方、それも違います。事務所を通さない直営業を認めるかどうかは事務所によって考え方とか判断が違うんです。例えば僕が所属するサンミュージックの場合は、契約書にも書いてある通りダメなんです。ところが吉本興業さんや他の事務所では、グレーゾーンだったり、金額によってはOKだったり、報告だけすればいいところもあります。
直営業を認める会社がある理由はほかにもありますよ。例えば10万円で飲み屋でネタをやる仕事があったとして、事務所を通すと半分の5万は事務所に持っていかれ、コンビだと2人分の税金が取られて残るのは4万円。分けると2万円ずつしか入らないんです。だから会社によっては、「10万円ぐらいなら小遣いとしてもらいな」って言うところも実際にあるんです」
 

さらに、吉本興業ホールディングスの大﨑洋会長が「Business Insider Japan」の取材に応えたコメントを引用すると、「芸人、アーティスト、タレントとの契約は専属実演家契約。それを吉本の場合は口頭でやっている。民法上も、口頭で成立します」と発言している。そこには、どうも「直の営業禁止」とは言及されていないようだ。

なぜなら、大﨑会長は「闇営業という言葉を、今回のことで初めて知りました。要は会社を通さない仕事で、ぼくが入社したときからあって、いまもある。どしどしやりなさいとは言わないが」と述べている(BUSINESS INSIDER JAPAN 7月13日)。

どうやら、直の営業は、現役お笑い芸人が認識している芸能界のサブカルや慣習に照らしても、特にアウトではないということが、これらのコメントから伺える。