UNWTO(国連世界観光機関)による2017年の統計では、国際観光支出は1位中国、2位米国、3位がドイツ。しかも「人口1人あたり観光支出」を見ると、中国は186ドル、アメリカは382ドルだが、ドイツは964ドル。人口一人あたりの支出額はなんと世界一なのだ。「ケチ」と言われるドイツ人、いったいどんな旅をしているのだろうか。

ドイツ在住のライター、雨宮紫苑さんは先日結婚したばかり。「今年の夏はバカンスで長期の旅行に行こう!」と代理店に連絡すると、驚きの言葉が返ってきた――。

 

ドイツはクーラーがない家が多い

今年も夏が来た。7月に入って落ち着いたとはいえ、ヨーロッパは先月記録的な熱波に襲われ、わたしが住むドイツでも35℃超えが数日続いた。

我が家を含め、ドイツの多くの家にはクーラーがない。外にいても中にいても、とにかく暑い! 家の中でも常にじっとりと汗をかき、仕事中の夫が定期的に「大丈夫?」と連絡してくるレベルである。

そんな日々をやり過ごすために、早朝に家の窓をすべて開けて換気し、その後窓と雨戸を閉めて冷たい空気を閉じ込めておく、というのがドイツの「定番暑さ対策」だ。

しかし在宅ワーカーのわたしにとって、家が常に薄暗いというのはなかなか気が滅入る。でも窓を開けると容赦なく熱風が吹き込んでくるわけで……。先月は連日、葛藤しながら汗をぬぐって仕事をしていた。

暑さにまいる一方で、夏はドイツ人が心待ちにする季節でもある。そう、バカンスの時期だからだ。

以前お伝えしたように、UNWTO(国連世界観光機関)による2017年の統計によると、国際観光支出は1位が中国、2位米国、3位ドイツとなっている。ドイツ人は世界でも旅行にお金を使う人たちで、「次のバカンスはどこに行くか」は最もテンションが上がる話題のひとつだ。

さて、ではドイツにおける「バカンス」とはどんな感じだろう? 

答えは「海」、そして「島」だ

夏の旅行に大都市はいらない

ドイツ人の夫は、わたしと一緒に日本旅行した以外、「島に1週間〜2週間滞在」というバカンスしかしたことがないという。「観光旅行ってなに? ずっと観光するの? 疲れない?」と言われたときはびっくりした。

ドイツ人にとって島バカンスは一般的で、リゾート島には毎年多くのドイツ人が訪れる。わたしが以前行ったギリシャのロードス島やマルタにはいたるところにドイツ人がいたし、受付の人もタクシー運転手も、カタコトながらもドイツ語を話せたくらいである。

ギリシャのロードス島 Photo by Getty Images

最近すっかりバカンスがご無沙汰になっていたわたしだけど、先日結婚したので、夫と「せっかくだから今年の夏はどこかに行こう」という話になった。

さっそくネットで「バカンス 予約」のようなワードで調べてみたところ、出てくるのはとにかく島、島、島! スペインやギリシャ、トルコといった島の写真がずらりと並ぶ。

「スペイン 休暇」で検索し、上位のサイトをみてみると、MallorcaやIbiza、Gran Canaria、Teneriffaといった、日本人にはあまり馴染みのない島ばかりがピックアップされている。バルセロナやマドリードといった大都市なんて完全に無視。やはりバカンスといえば、「海」らしい。