地獄か…「ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート」制作秘話

あなたは「スカベンジャー」をご存知か
上出 遼平 プロフィール

あまりにも多く、あまりにも巨大な鳥

このゴミ山を航空写真で見ると、いびつな長方形になっている。

入り口からの奥行きはおよそ1300m。幅は500m。山の標高は目測20m〜30m。

トラックがすれ違えるギリギリの幅で道が一本奥へと続いている。

道の足元も、左右にそびえるおよそ垂直の壁も、その上に続く稜線も、全てがゴミでできている。あらゆる場所からゴミの自然発火による煙が立ち上り、時折炎が噴き出している。

ぐるりと周囲を見回して、目に入るゴミでないものといえば、そこら中でゴミを引っ掻き回している人間と、大量のゴミを運びこんでは去って行くダンプカーと、そしておびただしいほどの鳥だ。

ダンドラを訪れて誰もがまず驚くのは、あまりにも多く、あまりにも巨大な鳥だろう。

ハゲコウ(C)テレビ東京

ハゲコウというコウノトリの一種で、体長は130cmほど。首から上には羽毛がなく、長いくちばしの下の喉にはだらりと赤い袋が30cm以上も垂れ下がっている。

こいつもまたスカベンジャーである。

屍肉、腐敗した有機物、糞便を食す。ハゲワシと同様にこのハゲコウも首から上の羽毛がないのは、動物の死骸に首を突っ込みやすくするためだと考えられている。

そしてこの巨大な鳥が、見渡す限り、道の真ん中から山の上、そして遥か上空まで何万羽もいるのである。

(C)テレビ東京
 

飯から世界が見えてくる

“地獄”に見える。

吹き出す業火、目鼻を指す煙と臭気、屍肉を喰らう動物、ゴミを漁る人間――。

しかし僕はこの後、このゴミ山の最深部で生きる青年に出会い、ここが必ずしも地獄でないことを知った。

この山の美しさと、豊穣さに心を打たれた。

出会ったのは、2畳ほどのスペースのゴミを掘り、トタンの屋根をかけた空間を“洞窟”と呼び暮らしている18歳の青年ジョセフ。

ゴミ山で食事をするジョセフ(C)テレビ東京

一人として、ここに来たくて来た者なんて存在しない。

誰もが流れ流され、ここに漂着した。

そして、今日を生きるために、知恵を絞り、肉体を用い、時に笑った。

彼らは今日、何を食うのか。

全ての顛末をここに書くことは難しい。

僕がこの地で過ごした数日間は、今夜21時から放送する「ウルトラハイパーハードボイルドグルメリポート」(テレビ東京系)に詰め込んだ。

飯から世界が見えてくる。

絶対に損はさせません。