島沢優子さんは、スポーツや教育関係に詳しいジャーナリスト。長らく教育の現場を取材し、『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実』『部活が危ない』『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』など数多くの著書がある。

今まで様々な指導者に出会い、子どもたちを伸ばす教育や育児について実感するとともにエビデンスを学んできた。自身もバスケットボールの全国優勝経験をもつので、部活や体罰問題も身にしてみて体験してきた。保護者向けのセミナーや講演も多く、個々の相談にも応じる。その島沢さんが提案するのが、今までの凝り固まった思考から一歩踏み出した「アップデートした子育て」だ。連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」にて、具体例とともにお伝えしていく。

7月ももう半ば。夏休みの部活や講習、学校体験などのスケジュールを確認している親も多いのではないだろうか。そして気になるのはなんといっても宿題。「さあ、どうやって夏休みの宿題をやらせるか」「自由研究なににさせようか」……そう思っている方々に伝える「親ができること」。

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自分のことを自分でできないんです

私の仕事は著述業ですが、スポーツや教育関連の講演を依頼されることがあります。最近多くなったのは、サッカーなどのスポーツクラブで保護者向けに話をすることです。

少人数のセミナーの場合、与えられたテーマで私が50分ほど話をした後に、今度は「1分間スピーチ」の名目で参加者に話してもらいます。

ひとり一人順番に、私の話の感想、質問、子育ての悩み相談でもなんでもOKにしています。

多くの方がご自分の悩みを話します。そして、1分では終わりません。というか「1分で話さなくては」と意識している様子はほぼなく、切々と、子育てのストレスや、悩み、憤りを話し続けます。

概ね「こんなふうにうまくいかないのだけど、どうしたらいいか」という相談ですが、参加者はみんな大きく頷きながら拝聴します。誰一人として「1分でしょ。早く終わらせようよ」みたいな顔をしてはいません。
同じクラブの保護者という仲間感もあるかもしれませんが、何よりみなさん共通した課題をお持ちだからでしょう。

・自分のことを自分でやらない。
・ずっとゲームばかりしている。
・忘れ物ばかりする。
・のろのろしていて、段取りが悪い。

課題を並べてみると、表出の仕方は違えど、根底に流れるのは「自主自律」のようです。一番目に挙げた「自分のことを自分でやろう」というメンタリティーが欠けています。

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自由研究は「やらせるもの」か

もうすぐ夏休みがやってきますが、いつもより子どもが家にいる時間が長いので「自分のことを自分でできないわが子」に遭遇する機会が増えます。
しかも、夏休みの宿題、自由研究、読書カードや日記と、お休み後半に待ち受ける「地獄のラストスパート」に親御さんたちは今から頭を悩ませています。

「どうしたらいいですかね?自由研究、島沢さんは何やらせてました?」と聞かれたりします。

子どもの宿題が「自分事」になっています。いやいや、私自身もそうでした。どう終わらせるかばかり考えていました

大学生の長男が小学4年の夏休み。
工作キットを買ってきて、やらせました。パッケージには「小学3~4年生向け」と表記されているのに思ったより難易度が高く、私たち親子はご多分に漏れず地獄の晩夏を迎えます。
家族総出で取り組んで終わらせたものの、キットを説明書通りに作った工作は味気なく、何ら面白みもありません。

一方の2年生だった長女は当時はハマっていた「シマヘビの研究」。図鑑を見ながらひたすらシマヘビや爬虫類の絵を描き、そこに「虫が好き」などと生態を説明するとともに、「さわったことがあります」とか「飼ってみたいです」などと主観を一言添えていました。オオトカゲには「このへんにはいません」と書かれていました。

私たち夫婦は長女の自由研究ばかりほめたので、長男は「ママがやれって言ったから、やったのに」とへそを曲げてしまいました。学校で一時的に展示されたあと戻ってきた工作は、一部つぶれたまま部屋の隅に転がっていました。