地味すぎ? 

が、いよいよドラマが始まってみると、中村勘九郎さん演じる主人公の金栗四三がどうにも地味すぎる。顔はイケメンとはいいがたく、性格は気弱で終始オドオドキョドキョド。台詞と言えば走るときの「スッスッハッハッ」と水浴びする時の「キエ~〜!」という奇声ばかり(言い過ぎか)。 
 
ドラマ評でよく言われていることだが、明治・大正と昭和の時代を行ったり来たりする構成や、オリンピックの話なのに、間に落語パートがはさまって物語が寸断されることも、確かに視聴者がついていきにくい要因だったのだろう。
 
しかも、金栗四三は、わかりやすく何かを成し遂げた人物ではない。日本初の代表選手として出場した1912年のストックホルムオリンピックでは、マラソン競技の途中に日射病で倒れて棄権。1916年のベルリンオリンピックでは、第一次世界大戦の勃発で大会自体が中止。1920年のアントワープオリンピックは16位。1924年のパリオリンピックは途中棄権。オリンピックに3度も出場しながら結果を出せない主人公。まったくカタルシスが得られない!!でも……。

あれ、面白い? と思ったきっかけは

あれ? 『いだてん』めっちゃ面白いよ!!
 

遅ればせながらはっきりとそう思ったのは、6月に入ってからだ。第21回の「櫻の園」を観た時だったが、それから改めて、オンデマンドで1話から一気に見直してみた(残念ながら、出演者の薬物事件のために現在4話から8話までは配信されていない)。
 
すると……面白い。1話からちゃんと面白いのだ!!
 
なぜリアルタイムで観たときにはこの面白さに気づかなかったのだろう? それは多分、仕事や何かほかのことをしながらの「ながら視聴」だったからだ。小ネタや細かい伏線が多く、テンポの速いクドカン脚本のドラマは、集中してみないと面白さが半減してしまう。
 
朝ドラの『あまちゃん』は毎朝15分だから集中して観ることができた。が、1話45分の大河ドラマを、他に何もせずテレビの前に鎮座して観ることはなかなか難しい。それが、多くの視聴者が『いだてん』から脱落してしまった最大の原因だったのではないだろうか。
 
面白いのに! 真面目に観れば! 
とつけむにゃあ(とんでもない)面白いドラマなのに!!

いまやTwitter上では『いだてん』にハマった漫画家やイラストレーターなどが「#絵だてん」のハッシュタグで『いだてん』関連のイラストを次々に投稿している イラスト/久世番子@bankolan