ドラマをこよなく愛し、雑誌のドラマ企画座談会にも呼ばれている漫画家で小説家の折原みとさん。いま一番ハマっているドラマが、なんと『いだてん』。しかし、たしか始まってしばらくのときは「『いだてん』脱落しそう」と言っていたような……?何がそんなに折原さんを変えたのか、本人に解説してもらった。

視聴率ひとケタがニュースに

みなさん、『いだてん』、観てますか? そう、あの低視聴率で名高い(?)NHKの大河ドラマ、『いだてん~東京オリムピック噺』ですよ。
 
2013年朝の連続テレビ小説『あまちゃん』で一大ブームを巻き起こした脚本家・宮藤官九郎氏が大河ドラマに初挑戦。歴史ある大河に新風を吹き込み、2020年の東京オリンピックを盛り上げる!……はずだったこの作品だが、まさかの大惨敗⁉ 初回こそ視聴率15.5%とまずまずのスタートだったが、2回目から急激に失速。2月半ばから7月に至るまで、視聴率は連続ひと桁台を記録し続けている。
 
一時は、ネットのニュースなどでも『いだてん』と言えば「低視聴率」の話題ばかり。「つまらない」「わかりにくい」「主役が地味」「脚本が悪い」果ては「受信料の無駄遣い」とフルボッコ状態だ。
 
だがしかし、『いだてん』は本当につまらないドラマなのだろうか?

主人公が阿部サダヲ演じる田畑政治になった第二部がスタートしたばかり NHKいだてん公式HPより

「つまらない」と思っていたけど

いやいや、「低視聴率」=「失敗作」と決めつけることなかれ。低視聴率にもかかわらず、『いだてん』を評価する声は決して少なくない。しかも、回を追うごとにその声は高まりつつあるようだ。実際、放送日の日曜夜には「感動!」「興奮!」「号泣!」といった視聴者の熱い声がSNS上に飛び交っている。
 
とはいえ、視聴率が振るわない理由もわからないわけではない。今ではすっかりこのドラマにはまっている私自身も、物語の序盤はあまり面白いと思えず、うっかり脱落しそうになっていたからだ。
 
戦国時代や幕末を描くことが大多数のNHK大河ドラマにおいて、今作は珍しい近代物。大河ドラマで近代が主な舞台になるのは、1986年の『いのち』以来だそうだ。しかも、主人公の金栗四三(かなくり・しそう)や田畑政治(たばた・まさじ)は、日本のスポーツ史上で重要な役割を果たした人物とは言え、一般にはまったく知られていない。名のある武将も英雄も出てこない。戦もなければ天下取りも討幕も明治維新も関係ない。そもそも、時代的にも題材的にも最初からハンデが大きかったのだ。
 
いや、それはまだいい。子どもの頃から大河ファンの私でも、戦国時代と幕末の繰り返しにはいいかげん飽きていた。近代物という新鮮なジャンルを、クドカンがどう描いてくれるのかを大いに楽しみにしていたのだ。