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100年越しの大構想「富士山登山鉄道」、実現の可能性を考える

いよいよ本格的に動き出した

世界遺産登録抹消の危機が迫る

JR中央本線の大月駅から分岐する富士急行線には、楽しい観光列車が数多く走っていて、そのひとつに「富士登山電車」がある。JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」や九州新幹線、各種観光列車に関わっている水戸岡鋭治氏がデザインしたもので、赤茶色の電車の車内は、工夫を凝らしたインテリアで充実し、車窓から富士山を眺めるのが楽しくなっている。

富士急行線は起点の大月駅から終点の河口湖駅まで高低差が約500mあり、最急勾配は40パーミルと登山鉄道と呼んで差し支えない路線だ。もっとも、富士山麓を走る鉄道であり、本格的に富士山に登るには、途中の富士山駅や終点の河口湖駅から五合目行きのバスに乗り換える必要がある。したがって、「富士登山電車」という名称は、人によっては誤解を招くかもしれない。

富士山に一番近い鉄道と称される富士急行線の「富士登山電車」/Photo by gettyimages

そんなことを考えていたら、本当に富士山を鉄道で登ろうという構想が発表され、驚いている。それも、単に好事家が夢を語ったものではない。地元・山梨県の長崎幸太郎知事をはじめとする錚々たるメンバーによる勉強会でルート案を盛り込んだ構想をまとめる方針を示し、「富士山登山鉄道検討費」として4175万円を県の補正予算にも盛り込んだのだ。

なんと奇抜な話だろうと驚くかもしれないが、富士山に登山鉄道を建設するという話は、およそ100年前から繰り返し発表され、山頂までの登山電車、ケーブルカーなどいくつもの構想が語られてきた。とりわけケーブルカーについては、戦前、何度となく申請がされたものの、いずれも実現に至ることなく立ち消えとなっている。

 

今回の話は、富士山が世界遺産に登録されて以降、訪日外国人をはじめ登山客が殺到し、このままではゴミの廃棄、殺到するクルマ・バスからの排気ガスが深刻の度を増していることも背景にある。もしこのまま、富士山の景観を著しく損なってしまうことがあれば、登録抹消の恐れもあるのだ。