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# 年金 # 2000万円問題 # サラリーマン

現役リーマンの将来年金が月20万円、高齢者に食われて消える大問題

言ってはいけない「年金制度」の真実

「厚生年金に加入しよう!」という陰謀論

金融庁の報告書に端を発した「老後2000万円不足問題」について関連する情報をTweetしたところ、私としてはかなり大きな反響を得た。

そこで驚いたのは、国民年金と厚生年金のちがいを理解しているひとがものすごく少ないことだ。メディアでは「国民年金はもらえる年金が少ないので、できるだけ厚生年金に加入しよう」という話になっているが、私はこれを「陰謀論」の類だと思っている。

せっかくの機会なので、ここで日本の年金制度の仕組みを説明しておきたい。サラリーマンの読者はきっと不愉快になるだろうが、それをあらかじめ断っておく。

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国民年金は「有利な投資」

自営業者などが加入する国民年金の特徴は保険料と受給額がほぼ決まっていることで、20歳から60歳までの40年間に支払う保険料の総額と、65歳から平均余命までの(期待)受給総額を誰でもかんたんに計算できる。

国民年金の保険料と受給予定額はインフレ率によって変わるが、2019年は保険料が月額1万6410円、それに対応する受給額は満額で月額6万5008円となっている。40年間の支払い総額は787万6800円、65歳時点の平均余命を男性19.57年、女性24.43年(簡易生命表2017)で試算すると、受給総額は男性で約1500万円、女性が約1900万円だ。支払った保険料が男性で1.9倍、女性なら2.4倍になるのだから、これだけで有利な「投資」だとわかるだろう。

 

国民年金の内部収益率を試算すると、男性が年利2.17%、女性が年利2.69%で保険料を運用していることになる。現在の超低金利で銀行預金することを考えれば、国家に「貯蓄」するのはきわめて有利な取引なのだ。そのうえ事故や病気によって身体が不自由になった場合は障害基礎年金が、家族を残して死亡した場合は子どもが18歳になるまで遺族基礎年金が支給される。

「インフレになったら損するではないか」と思うかもしれないが、設計上は物価や賃金の変動に合わせて受給額が調整されるので、大きく目減りするようなことはない(ただし後述の「マクロ経済スライド」によって、インフレ率と受給額がかんぜんに連動するわけではない)。

厚生年金の収支は1000万円のマイナス……

それに対してサラリーマンなどが加入する厚生年金は、報酬月額(ボーナス込み)の18.3%を労使で折半することになっている。当然、給与が少なければ保険料も安く、昇給につれて保険料は上がっていく(上限は報酬月額63万5000円)。

国民年金と同じようにこの保険料が積み立てられ、運用されて65歳以降に払い戻されるのならなんの問題もない。だが現実には、そんなことにはぜんぜんなっていない。

労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2018 労働統計加工指標集」によれば、学校を卒業してただちに就職し、60歳で退職するまでフルタイムで正社員をつづけた場合の平均的な生涯賃金は、大卒男性で(退職金を含めずに)約2億7000万円だ。これに18.3%の保険料率を掛ければ、大学卒業から定年までに納める厚生年金の保険料の総額は約4900万円ということになる。

これに対して厚生年金の平均受給額は男性で16万5668円(2017年)、65歳の平均余命(19.57年)で受給総額を計算すると3900万円にしかならない。これはあくまでも概算だが、それでも1000万円も損をしているというのは衝撃的だ。

先に述べたように、国民年金(男性)では積み立てた額の1.9倍が返ってくる。すべての国民が「平等」だとするならば、平均的な厚生年金加入者(大卒男性)の受給総額は9400万円、月額40万円になるはずだ。本来なら現役世代のサラリーマンが定年後に受け取るべき年金が、月額20万円以上もどこかに消えてしまっているのだ。