苦楽園口駅の近くにあるニテコ池。

苦楽園口では小説『火垂るの墓』に登場するニテコ池を訪ねたり、阪神間きっての高級邸宅地である六麓荘町にも足を延ばした。

東六甲展望台。望遠鏡を覗くと遠くに太陽の塔も見えた。
甲陽園の駅前にあるパン屋〈ビゴの店〉。フランスパンを日本に広めた名店は、本店のある芦屋から始まった。 ビゴの店 甲陽園店 兵庫県西宮市甲陽園本庄町9-17 ☎0798-71-0013

そして苦楽園口駅に戻り、今度は電車に揺られ、終点の甲陽園駅へ。目的は〈ケーキハウス ツマガリ〉に寄ること。もうひとつは、やはり住宅街を歩くことだ。〈ケーキハウス ツマガリ〉は1987年創業の洋菓子店で、神戸の洋菓子文化を牽引してきた存在。訪れた日は金曜ともあって、地元の人々で大賑わいだった。

「こんな洋菓子店が近所にあるなんて羨ましい限りです。阪神間モダニズムの街々にある西洋文化は実にリアルで、無理に背伸びしている雰囲気がない。ツマガリの洋菓子もそれを象徴するひとつ。本当の意味で生活がハイカラなのだと思います」

シュークリームを片手に住宅街を進み、大池公園を目指す。釣りをする人や犬の散歩をする人が自由に過ごすのどかな場所だった。なんでもない日常の風景に「ここもまた豊かだなぁ」と目を細める佐藤さん。六甲山の方角を見ると、ここでも傾斜地に住宅がひしめき合っていた。

「広島の呉の話をしましたが、実は忘れられない思い出があるんです」