食のスペシャリスト&グルメに精通する識者で構成される「FRaU Foodies」が、今イチオシの料理やスイーツなどをお届けします。今回は、ホフディランの小宮山雄飛さんがこの夏オススメする冷たい麺。見た目の美しさにやられ、スープを飲み干すほど感動した一杯です。

コラーゲンたっぷりの豚骨スープを
余すことなく楽しめる夏限定の一杯

「夏になると冷たい麺が食べたくなります。今年初めて出会ったのが、四谷にある『徒歩徒歩亭』さんの『涼麺(りゃんめん)』。名前からしてそうですが、見ただけでも涼しさを感じる実にキレイな盛り付けにまずやられました」

涼麺 ¥1300(税込み)

雄飛さんがファーストインパクトから衝撃を受けた「涼麺」は、5月中旬から9月中旬(涼しい風が吹いたら終わり)までの夏季限定メニュー。同店の夏の風物詩で、5月に入ると常連さんから「いつはじまるの?」と問い合わせの電話がかかるほどの人気ぶりです。

「冷やし中華のような醤油ダレではなく、しっかり豚骨出汁の効いたジュレ状のスープがかかっていて、これが実に良い塩梅。最後まで飲み干してしまうおいしさです。具もカイワレや白髪ねぎの他に、オクラや豚の冷しゃぶなどが入って結構ボリューミー! 満足感が高いです」

雄飛さんが絶賛するスープは、お店を代表する支那麺(しなそば)の豚骨スープを一晩冷やしたもの。コラーゲンが出て、とろみがついてきます。さらにそこへ酸味を加えることで、爽やかに仕上げています。

それだけにお店の代表・西勝佐江さんは「最後までスープの味を楽しんでほしい」と言いますが、雄飛さんは「途中まで食べたら卓上のお酢を回しかけると、さらに酸味が増して冷やし感がアップします」と自己流の食べ方を提案します。

「ランチで麺類を食べるのに1300円は安くはないですが、それだけの価値がある見事な仕事ぶりをあちこちに感じられる一杯です」

雄飛さんが食べられた昼のみならず、夜も食べられる涼麺と、一緒に注文される方が多いというのが「皿わんたん」。漢字だと雲を呑むと書きますが、その文字通り口に入れた瞬間、つるんとした皮を伝って口中にダイレクトに飛び込んできます。

皿わんたん 6個¥780(税込み)

西勝さん自ら皮を手包みし、力を入れずにフニャフニャと巻くことで、つるんとした口当たりを実現。それでいて、中には豚・鶏の挽き肉がギッシリ。野菜も入っていて、食べ応え十分です。

なお、通常は6個入りですが、麺を頼めばサイドメニューとして3個入りの注文も可能。こういうさりげない優しさも嬉しくなります。

お店は西勝さんの父が、昭和39(1964)年に新宿から四谷あたりを移動する屋台としてスタート。その後、四谷に「徒歩徒歩亭」を開いたのが今から9年前のこと。支那麺をベースにさまざまな料理を提供しています。

高菜麺(たかなそば) ¥1150

その中の一杯、「高菜麺」は、その支那麺に豆板醤で炒めた高菜と卵をトッピング。ピリッとした辛さがヤミツキになります。

この高菜麺はもちろん、一風変わった「涼麺」も含め、いずれもお父さんが考案されました。

「どこにもない、うちだけの料理を出したい」

そんな父の思いを受け継いだ西勝さんは、「お客さんにうちの料理を食べて幸せになってほしい」と話します。

食材はすべて国産にこだわり、スープは毎朝丁寧に仕込む。従業員全員が一丸となって作る一杯には真心がたっぷりと込められています。

ジャズが流れる落ち着いた空間でズズッとすすれば、ひと度訪れる口福の波。午後のパワーチャージに、夜のまったりご飯に、ぜひともご賞味あれ。

徒歩徒歩亭(とぼとぼてい)
東京都新宿区四谷三栄町6-32 鈴木ビル1階
☎03-5269-7717
営業時間:11:30〜14:30LO、17:30〜20:30LO
定休日:日・祝、土曜の夜
https://tobotobotei.jp/

PROFILE

小宮山雄飛 Yuhi Komiyama
ミュージシャン。ホフディランのヴォーカル&キーボード。音楽活動の傍ら、日本初のレモンライス専門店「Lemon Rice TOKYO」を渋谷にオープン。また、自身2冊目となる居酒屋紹介本『今日もひとり酒場』(扶桑社)も好評発売中。

       
Photo:Tatsuya Hamamura Illustration:YUGO. Composition:Seiki Ebisu