数多くの離婚事例を取材してきたライターの上條まゆみさん。離婚はどちらかが善悪と言い切れるものではない。しかも子どもがいれば尚更、「自分が我慢すればいいのでは」とも思ってしまいがちだ。離婚はすればいいというものではなく、選択肢の一つとして、幸せに生き生きと暮らすために決断すること。そこで様々な事例をご紹介し、少しでも迷っている人の光にしていただければと思う。

今回の話は、28歳で結婚、6年前、34歳で離婚をした東川結衣さん(仮名・40歳)。9歳になる一人娘の親権争いで6年近くもめた。警察沙汰にもなった。裁判で泥沼の争いにもなった。それがなぜ収束したのか。改めて結婚のときからライターの上條まゆみさんが話を聞いた。

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1週間ごとに父と母の家に

6年前に離婚した東川結衣さんには、9歳の娘がいる。いま娘は一週間ごとに母親である結衣さんが暮らすアパートと、父親の実家とを行き来して生活している。半年前、娘自身が宣言してそう決めた。

「原則一週間ごととなっていますが、それぞれの都合によっては調整が必要なことも。それで娘と私と元夫との3人でスケジュールアプリを共有し、みんなで予定をすり合わせています」

ひとり親という言葉があるが、実はこの表現はおかしい。離婚をしても子どもにとって親は二人。子どもはどちらの親からも愛されて育つ権利がある。それを実践する意味で、一週間交代で娘を育てるのは離婚・別居後の子育ての理想形のひとつだとも言える。しかし、東川家においてこのスタイルが実現するまでには、決して平坦ではない道のりがあった。

離婚した夫婦と子供とでカレンダーアプリを共有。そこに至るまでにあったことは Photo by iStock

実母に甘えて仕事をしない夫

結衣さんが元夫と知り合ったのは25歳、元夫は5歳年上で塗装の仕事についており、当時結衣さんが働いていた店の客だった。
「ユーモアがあり、話し上手で、一緒にいて楽しい人でした」
そもそも、なぜ結衣さん夫婦は離婚したのか。

同棲を経て、結衣さんが28歳のときに結婚。夫の父親が亡くなり母親が一人暮らしになったことをきっかけに、籍を入れて家に入った。数年して娘が生まれた。これまでにも孫を3人育ててきた姑は、結衣さんの娘の面倒もよくみてくれた。完全同居ではあるが、嫁姑の折り合いは悪くなかった。

一方、夫は実家に戻ってから、あまり仕事をしなくなっていた。姑はまだ若く現役で会社勤めをしていたので、一家の家計はなんとか回ったが、それでよいというわけにはいかない。夫が姑の口座から勝手にお金を引き出したために光熱費が引き落とせなくなったり、夫が国民健康保険料を滞納していたことが発覚したりなどで、結衣さんの不安は募った。

それで、夫に苦言を呈した。「お義母さんがいなかったら生活できないじゃない。娘も生まれたんだからしっかりして」。結衣さんにそう言われるたび夫は暴れ、「じゃあお前が働けよ!」と怒鳴った。