〔PHOTO〕iStock

50万部超の書籍連発、異能の編集者が大切にする「4つのこと」

「編集思考」とは何か

『医者が考案した長生きみそ汁』『3000円投資生活』など数々のメガヒット書籍を出しているアスコム社。その取締役編集部長・柿内尚文氏は「編集思考」を大切にしている「編集思考」は、出版に限らず様々なビジネスに通じる考え方だという。

メガヒットは「無名の著者」から生まれている

出版不況と言われて久しい。書店の数はますます減り、出版業界の売上も毎年下がり続けています。一方で、メガヒットも毎年出ています。

先日2019年上半期のベストセラーランキングが発表されましたが、1位の『一切なりゆき』(樹木希林)はミリオンを越えるメガヒットになっています。4位には私たちが出版した本、『医者が考案した長生きみそ汁』が入りました。おかげさまで80万部のヒットになっています。テレビなどでも何度も紹介され、長生きみそ汁の材料である、みそとりんご酢が一時スーパーから売り切れで消えるという現象も起きました。

本が売れないといわれる中で、どうにか奮闘しながら、アスコムはコンスタントにベストセラーを出し続けることができています。この6年の間でミリオンセラーを2冊、50万部を越えるベストセラーを4冊出すことができました。

私たちの会社は従業員40名ほどの小さな会社です。小さな会社が戦うために「選択と集中」をしてきました。出版点数をできるだけ絞り込み、1冊1冊に資源を注力する。また、出版ジャンルも絞り込む。私たちが主に刊行しているジャンルは「実用書」です。文芸書やコミックは爆発的なヒットが出ることがありますが、それは著者の知名度などに大きく左右されます。一方、「実用書」は著者自身の知名度よりも、コンテンツの中味が大きく左右します。

例えば、今年の実用書の上半期ランキングがあります(日販調べ)。

ランキングに入っているほとんどが、いままでヒットを出したことがない著者の本です。実用書は、どうやって読者のニーズを掴み、「新しい価値」として提供できるかが大切です。それ次第で、いくらでもベストセラーになる可能性があるわけです。

 

ジャパネットたかたを参考にせよ

私たちがベストセラーを生み出すために大切にしている考えがあります。それが「編集思考」です。

「編集思考」は「新しい価値を生み出すこと」と「その価値を伝えること」を目的にした思考法です。編集思考を活用して行動していけば、これまであまり売れなかった商品やサービスが、大きな売り上げを上げることも可能になります。編集思考はなにも出版業界に特化したものではなく、あらゆる世界で活用できる思考法なのです。

例えば、ジャパネットたかたの元社長である髙田明さんは素晴らしい編集思考の持ち主です。ボイスレコーダーや電子辞書、デジタルカメラなどを大ヒットさせた話は、まさに編集思考そのものだと思います。