2019.07.25

本田宗一郎氏の名言から学ぶ「中年の危機」の乗り越え方

「自己承認」の時代を卒業せよ
小杉 俊哉 プロフィール

他者承認と感謝の時代へ

さらに、亡くなる1カ月前の生前最後のインタビューでは、こう思いを語っている。

Photo by iStock

「俺なんか瀬戸物のカケラにしか過ぎないよ。藤沢を始め、多くの人たちがいたからこそ、会社がここまで成長できたんだ。退職した人や全ての顧客なども含めて、全ての意味でHONDAと俺に関わった人に感謝してやまない」

(「ビジネス名言ポータル」)

若いころの、「自己承認と自己確立」から、「他者承認と感謝」というチーム思考に変化していることがわかるだろう。だから、長きにわたり成功し続け、そして亡くなった後も尊敬される存在であり続けるんだ。

著名な経営者でも、功成り名を遂げた後も、自分にしか関心を持たず、いつまでも「自己承認と自己確立」ばかりに固執していては、いわゆる晩節を汚すと形容され、どんなに活躍していても、歴史からその名は忘れ去られていってしまう。

では、その「自己承認と自己確立」から、「他者承認と感謝」への転換期はいつごろなのだろうか? 一般的には、発達心理学でいうミッドライフクライシス(中年の危機)といわれる時期だ。

 

それは、男性では40代前半といわれている。企業だと課長、さらには早い人だと部長という役職がつき、部下の成長を促し、部門の業績の責任を負うことになるので、本来この転換を自然にできるはずだ。

40代前半くらいまでは、役職がついてもプレーヤーとしての意識の方がどうしても強いはずだ。まずは自分の業績を上げることが求められるからだ。どうやって成功するか、という自分なりの勝ちパターンを築く時代といえる。

ところが、40代になってくると、身体の無理は利かなくなり、疲れは残る、記憶力も以前より衰え、また内臓疾患や腰痛など身体の不調を持つ人が圧倒的に増える。

そうすると、今までの勝ちパターンが使えなくなり、自分への自信がなくなる時期がくるのだ。程度の差はあれ、誰にでも、だ。それが、中年の危機というものだ。

そのときに、そのまま従来の勝ちパターンにこだわって「オレがオレが」でやろうとすると、周囲と噛み合なくなり、部下がついてこなくなり、その後は思うようなキャリアが築けなくなりやすい。

SPONSORED