Photo by Gettyimages/コンバーチブルを運転する本田宗一郎氏

本田宗一郎氏の名言から学ぶ「中年の危機」の乗り越え方

「自己承認」の時代を卒業せよ
終身雇用、年功序列といった平成の働き方が終わりを告げようとしている今、社会人に求められているもの。それは「起業家マインド」だ。著書『起業家のように企業で働く 令和版』で知られる経営学者・コンサルタントで、過去にはNEC、マッキンゼー、ユニデン、アップルなどの複数社で勤めてきた小杉俊哉氏は、やがて訪れる「中年の危機」にこう備えよとアドバイスする。若いうちに知っておくべき「人生で大切なこと」を小杉氏が語った。

成功者には法則があった

以前書いた『ラッキーな人の法則』(中経出版)は読んでくれただろうか? その本を書いたときに、ゼミの学生たちと一緒に、活躍したビジネスパーソンや偉人、芸能人、スポーツ選手、学者で「成功者」といわれる人の著作物や発言などを徹底的に調べたんだ。その際にわかったことを、ここでも改めて紹介しよう。

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それは「成功者」と呼ばれる人たちの人生を見直してみると、「自己承認と自己確立」の時代を経て、次第に「他者承認と感謝」の時代へと変化していくケースが圧倒的に多いということだ。

まず、この「自己承認と自己確立」を強烈に持っていないと、そもそも世に出てこない。

たとえば、ホンダの創業者本田宗一郎氏。若いころの発言は、以下のようなものだ。

「人生は“得手に帆あげて”生きるのが最上だと信じている」

(『本田宗一郎生誕1 0 0周年記念出版 本田宗一郎本伝 飛行機よりも速いクルマを作りたかった男』毛利甚八、小学館)

「人間、生をうけた以上どうせ死ぬのだから、やりたいことをやってざっくばらんに生き、しかるのち諸々の欲に執着せずに枯れ、そして死んでいくべきという考え方だ」

(『本田宗一郎との100時間』城山三郎、PHP研究所)

 

これらの対象は、やはり「自分」だ。

ところが、その発言も次第に変化していく。対象が「他者」に向き、後進の育成を念頭に置いた発言などが増えてくるのだ。

「人間にとって大事なことは、学歴とかそんなものではない。他人から愛され、協力してもらえるような徳を積むことではないだろうか。そして、そういう人間を育てようとする精神なのではないだろうか」

(『定本 本田宗一郎伝― 飽くなき挑戦 大いなる勇気』中部博、三樹書房)

「人を動かすことのできる人は、他人の気持ちになれる人である。そのかわり、他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。自分が悩んだことのない人は、まず人を動かすことはできない」

(『評伝本田宗一郎―創業者の倫理と昭和ものづくりの精神』野村篤、青月社)