ストレス臭の発見は偶然、
皮膚ガスのニオイを嗅いだことから

そんな日本人特有の美意識を覆してしまう「ストレス臭」は、どのようなニオイなのだろうか。ストレス臭を発見した資生堂 グローバルイノベーションセンターの研究員、勝山雅子さんに話を伺った。

「ストレス臭の発見は、実はたまたまなんです。私たちはもともと、体の状態が肌の状態に関わっているだろうという研究をしていて、唾液を採ったり、採血をしたりと、体の中を調べているなかで、人の皮膚から出る気体『皮膚ガス』も採っていました。採血をしなくても体の中の状態が分かる皮膚ガスは、糖尿病やがんなどの研究にも使われることもありますが、私たちの研究対象は病気ではないため、体の中のものが皮膚ガスに出てくることは面白いのではないかという視点で研究を続けていました。

資生堂 グローバルイノベーションセンターの研究員、勝山雅子さん。

これまで、年齢・性別関係なく、野菜嫌い、便秘がち、下痢気味などさまざまな項目で皮膚ガスをとっていましたが、その分析結果は千差万別で何の特徴もありませんでした。しかしあるとき、『これは何の臭いだろう?』と、皮膚ガスに共通のニオイがあることに気づいたのです。ペアで研究をしている臭気判定士も同じようなニオイを感じていました。その共通のニオイがした方に『今日の体調どうですか?』と質問すると、私たちが白衣を着ていることもあってなのか『緊張している』という返答や、『研究所に初めて来たのでドキドキする』という返答がありました。“緊張”や“ストレス”というワードが多く出てきたので、『そんなこと関係あるのかな?』と。疑心暗鬼でしたが、検証してみようということで、まずインタビューストレス試験を行いました。

インタビューストレス試験とは圧迫面接みたいなもので、フレンドリーではない初対面の関係性で、インタビュアーからの質問に20分回答し続ける試験のこと。今回は35~44歳の女性40人に参加いただきました。インタビュー中、片手にビニール袋をはめ、皮膚ガスを採取しました。リラックスしている状態と比較して、心拍数の上昇とストレスホルモンといわれるコルチゾールの増加を確認し、この時集めた40人中40人の皮膚ガスから共通の『ニオイのある皮膚ガス』が出たのです。