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「パフェを食す」という行為が、いつの間にか予約制になっていた話

パフェ評論家・斧屋のディープな考察

あの背の高い食べ物

パフェブームの話をする。

日本で一定の期間を生活してきた人なら、「パフェ」と言われて、何のことだかさっぱり分からないという人はいないだろう。あの、背の高いグラスに果物やクリームが華やかに盛られたデザートのことである。一方で、日常的にパフェを食べる人は少なく、大人になってから一度も食べていないという人も多いのではないか(パフェは「知っていること」と「食べていること」のギャップが大きくなりやすい食べ物である)。

この文章はパフェを食べ慣れていない人を念頭に書き進めるので、安心して読んでいただきたい(そしてあわよくばいつの間にかパフェを食べたい気分になってほしい)。

喫茶まりも(2017年に閉店)の「プリンパフェ」(著者撮影)

【写真はこちら】進化するパフェ世界

五感を研ぎ澄ませて

まず、他の飲食物に比べて顕著な、パフェの三つの魅力をお伝えしておこう。

 

一つは、パフェは五感を総動員して楽しめるということだ。パフェというとどうしても見た目重視という印象があるかもしれないが、香り、味、舌触りや食感、シャリシャリ、サクサクとした音まで、視覚以外の要素も非常に重要であり、大きな魅力となっている。

二つめとして、その場でしか食べられない「ライブ感」である。パフェは作ったその場で食べるスイーツなので、時間が経ったら溶けたり、混ざったり、湿ったりしてしまう素材をそれぞれのベストな状態で提供できる。ケーキでは使えないアイスも使え、果物は鮮度を保ち、サクサクの素材は食感を失わないうちに。だからパフェは、すべてを最もおいしい状態で食べることのできるスイーツなのだ。最近はカウンター形式で、目の前で作ってくれるお店も増えている。そこでは音楽の生演奏のように、目の前でパフェが紡ぎ出されるのを見る楽しみもある。

最後に、物語性である。パフェの多くは背の高いグラスに入っており、層構造があり、「順番」があるというのが他のスイーツにはない特徴だ。順番があるということは、パフェの創り手が物語のような起承転結の展開をつけられるということだ。だから食べ手にとっては、どのような物語かを味わい、読み解くというのがパフェの楽しみとなる。

まとめれば、パフェはその場で食べるがゆえのライブ感があり、それゆえに五感を様々に刺激される。それが層を成すことで、物語的に楽しむこともできる、ということになる。お分かりのように、この三つの魅力は互いに連関し合っている。