夏の定番「怖い話」がイマドキっぽく変化している深〜いワケ

怪異は人間社会を映し出す鏡だ
朝里 樹 プロフィール

しかし、こういった怪異は、最近になって突然生まれたわけではない。SNSの発達によって舞台をネット上に移しただけで、その源流は手書きの手紙の時代から語られていた。いわゆる、「幸福の手紙」「不幸の手紙」といったチェーンレターの類だ。

「幸福の手紙」は、大正時代に西洋から日本に流入したもので、一定の人数に同じ文言を記した手紙を送れば幸福になれるが、送らなければ不幸になる、といった内容の文言が記された手紙だ。これは後に、幸福になる、という要素が抜け落ちた「不幸の手紙」となり、携帯電話が普及すると電子メールに活躍の場を移した。

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電子メールの場合、簡単な操作で転送が可能なためか、内容もただ不幸になる、というだけではなく、死者から送られてくる体裁のメールであったり、友人や家族を殺された人物が犯人を特定するために送っているという体裁のメールであったり、そのバリュエーションは豊富だった。

この時点で匿名の謎の存在から送られてくるメッセージという要素が見られた。それがスマホの普及などとともに、連絡の方法が電子メールからSNSに変わったことで、怪異もまたそちらに移動したものと考えられる。

これは技術の発展を怪異たちが繁栄した例だ。たとえ既存の媒体が廃れても、人々が移動した場所へ怪異も移動するのである。

 

心霊ブームの中心は「写真」から「動画」へ

こういった例は、他にも見られる。「心霊写真」はまさにその一つだ。

心霊写真は、すでに明治時代には日本に存在し、当時は「幽霊写真」と呼ばれることが多かった。これが1970年代のオカルトブームの時代、「心霊写真」と呼ばれるようになり、数多くの心霊写真が撮影された。

写真のデジタル加工が容易となった現在においてが、それが本物であるかどうかを判断することが難しい。しかしフィルムカメラからデジタルカメラ、そして携帯電話、スマートフォンなどに搭載されたカメラに写真の主流が移ったとしても、それら新たなカメラのレンズを通し、心霊写真はネット上やテレビで今でも紹介されている。