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夏の定番「怖い話」がイマドキっぽく変化している深〜いワケ

怪異は人間社会を映し出す鏡だ

日本には、神話の時代から令和の時代に至るまで、数多の怪異・妖怪について語られ、その記録が残されてきた。私は時代を問わず、そういった怪しいものたちについて在野の立場で研究している。

2018年には怪異・妖怪が登場する舞台を現代に絞り、集めた『日本現代怪異事典』を、さらに今年の6月にはその続編である『日本現代怪異事典 副読本』を上梓した。その副読本の中で、古代から現代に至るまで、怪異・妖怪という存在がどのように変わってきたのか、その変遷を辿った。

科学や技術が物凄い勢いで進歩し、国内外の情報に簡単にアクセスでき、社会が目まぐるしく変わっていく現代。そこで今回は、怪異たちがどのように変遷してきたか、時代を現代に絞り、紹介していきたい。

 

スマホに現れる妖怪「LINEわらし」

近年、スマートフォンが普及し、SNSを通して人々は友人や家族、時には顔も知らない誰かと交流することが盛んになった。

顔が見えないということは、自分が会話している相手の素性が分からないということでもある。女性だと思っていた相手が男性であったり、大人だと思っていた相手が子供だったりといったことが頻繁に起こりうる。そして、その相手が「人ならざるもの」であったならば……、という不安も当然のように生まれた。

たとえばコミュニケーションアプリのLINEにおいて、子供たちのグループの中にいつの間にか誰も知らない子供が登録されているという怪異があり、「LINEわらし」と呼ばれている。これは、子供たちの間に混じって遊んでいるという話が伝わる「座敷わらし」になぞらえた名前だろう。

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またSNSであれば、Twitter上に「海馬市蘭」という名前のアカウントがあり、実は死者のアカウントであるという怪異の噂もある。Twitterでこの名前をつぶやくと、死者からリプライが送られてくると言われている。

この他にも特定の画像や動画、文言などが添付されており、それを見た人間は一定の人数に広めなければ呪われる、死んでしまうといった形で語られる怪談もある。