竹馬に乗ったことがないからわからないけど

映像の上映が終わり、司会者から名前を呼ばれた。大きな拍手で迎えられてホッとひと安心だ。沖野氏や小西氏も一緒に登壇し、今回のプロジェクトや義足に対する思いを語り合った。

遠藤氏がマイクを取る。

「乙武さん、義足を履いてみて何がたいへんですか」

「まずね、怖い。両手もないので、転んじゃったときは顔面で受け止めるしかないんですよね」

「沖野さんに聞きたいんですけど、乙武さんのような四肢欠損の方で、義足で生活している人はいるんですか」

「両足の膝上切断の方は日本国内にもいらっしゃいますし、私も義足を作ったことがあります。ただ両足の膝上切断でしかも両手もない方は、日本では見たことがありません。ユーチューブの動画で海外の方をなんとなく見たぐらいで」

「手がないことで歩くときに不利な点はありますか」

バランスがとれないんですよね。転びそうになると人間は手でバランスをとりますが、乙武さんはそれができないんです。義足を竹馬に例えることがありますが、乙武さんの場合は、両手を縛って高い竹馬に乗って歩いている姿をイメージしてもらうと、どれほど難しいことかがわかると思います」

竹馬に乗ったこともなければ逆立ちをしたこともない私には、実感として理解しづらかったのだが、多くの健常者にはこのたとえがわかりやすいらしい

その後も、幼いころの義足体験、今回の義足のデザイン、日常の練習、そしてどれだけプロフェッショナルなメンバーがこのプロジェクトに参加しているのかを、順を追って丁寧にお話しした。

2019年3月24日の練習でのショット 撮影/森清