毎日1200人減少…日本を襲う「出生数ゼロ」という深刻すぎる危機

「無子高齢化」を考える
前田 正子 プロフィール

現役人口と高齢者のバランスが崩壊

そもそも世界でも人口が1億人を超える国は10数ヵ国しかなく、日本の人口は世界第10位(2018年)である。そのため、日本の人口減少は大したことはない、昔の人口に戻るだけという意見もある。

だが、問題は総人口より現役人口と高齢者のバランスが崩れることにある。

先にみたように、20から64歳を現役人口と考え、何人の現役で一人の高齢者を支えるのかを見てみよう。

そうすると2015年には2.1人の現役に対して高齢者1人だったが、2025年には現役1.8人に高齢者1人、2035年には現役1.6人に高齢者1人となる。実は2040年の人口は1975年の人口とほぼ同じになる。

だが1975年には7.7人の現役で1人の高齢者を支えていたが、2040年には現役1.4人に減ってしまう。総人口は同じでも、人々の年齢構造は全く違うのだ。

日本の少子化がここまで進んだ理由

そもそもなぜここまで日本の少子化が進むことになったのだろうか。

まず第1に政府が戦後の人口動向を見誤ったこと。第2にあくまでも子育ては個人の責任であり、出産や子育てに社会的支援が必要だとは考えられていなかったこと。そして第3に団塊ジュニアがいずれ第三次ベビーブームを起こすと、楽観視していたことがある。

それは日本にとっての不運だった。

最も若い人口が多い層だった団塊ジュニアとポスト団塊ジュニアが学校を卒業するころは就職氷河期だった。1990年代後半から2000年代前半にかけては大卒者の4人に1人はアルバイトか無業で卒業していったのだ。

 

1990年代から始まった若者雇用の激変や非正規労働者の増大が、その後の社会に深刻な問題をもたらすと予測している人はほとんどいなかった。

今を乗り切れば何とかなる、いずれ景気が良くなれば若者の雇用の問題も解決すると考えていた。企業は生き残るため、人件費を削ろうと新卒採用を抑え、非正規雇用者を多用した。

だがこれが深刻な合成の誤謬を社会にもたらした。

若者が安定した仕事につけなれば、結婚・出産は難しい。企業は生き残ったが、未婚化の進展で少子化は一層進み、社会の未来が脅かされることになった。若者を安く不安定な雇用に追いやってその将来を奪った社会は、自ら社会の危機を招いたのだ。