米朝電撃会談は「北朝鮮の大勝利」に終わったと言えるウラ事情

ヒントはすでに出ていた…
※本記事は『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまるジャパン極」の放送内容(2019年7月5日)の一部抜粋です。野村邦丸氏は番組パーソナリティです。

「仕組まれた」米朝電撃会談

邦丸:6月28、29日に大阪でG20サミットが開かれました。その後にトランプ大統領が韓国を訪問して、38度境界線の板門店(パンムンジョム)に行くというところまでは、みな知っていたことなんですが。その後まさか北朝鮮の金正恩さんと会って、国境を超えて北朝鮮の領土内までに入るなんて、誰も考えてなかった。

映像をご覧になった方もいらっしゃると思いますけども、トランプ大統領に随行しているシークレットサービスから報道人まで、大混乱でしたよね。本当に急に行われたことは、ある程度映像を見ていれば手に取るようにわかったんですが、これ正直、日本の外務省としても相当びっくりしたんじゃないですか。

佐藤:相当びっくりしたとは思いますけども、意外性は全然なかったと思いますね。

邦丸:意外性はない!

佐藤:みんな騙されているわけですよ。こんなの、仕組まれているに決まってます。

邦丸:仕組まれているに決まってる!

Photo by gettyimages

佐藤:はい。今日の明日で首脳会談というのは、常識で考えて、できないんですね。常識でできないことは、米朝関係でも絶対に起こらないです。これは既に6月にヒントが出ていたんですが、米朝の間で親書の交換がなされていましたよね。

邦丸:はい。

佐藤:あのときに決まっているんですよ。非常に興味深かったのは、通常は国務省として親書のやりとりをするんですね。それから、アメリカからトランプの親書を返すときには、ニューヨークにある北朝鮮の国連代表部を通じて返すんですよ。しかし今回、どちらもやってない。要するに、北朝鮮のほうから特使が来て、ダイレクトに国家安全保障会議(NSC)に渡して、そしてまた、トランプの特使が中国経由で北朝鮮に行って返書を渡している。

どういうことかというと、外交交渉で外務省や国務省の役人に任せると、回数を重ねるほど「自分の立場が正しい」って、理論武装を強めていくんです。それだから、突破口ができなくなっちゃうんですね。だから、今までのルート以外から刺激を与えないといけない。それで今回、劇的な演出をしたわけですね。

恐らく、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は前日になって知ったと思います。

 

邦丸:あ、そうですか。

佐藤:ええ。場所を貸して、3人でちょこっと短時間会うだけなら、オーケーと。それから、日本も本当に直前に知らされた、こういうことだと思いますね。中国も噛んでますね。なぜならば、親書を持って中国経由で北朝鮮に入るなら、理由を言わないと入れてくれないですから。「何でこういうことするの?」と。

ですから、韓国は最終局面で知った。中国はそれより早く知っている。そして北朝鮮とアメリカでやっている、日本は外されているという仕組みですよね。あんまりよくないですね。