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住宅ローン問題、LGBTの「同性カップル・ペアローン」の光と影

借り手の視点・住み手の視点で考えた
永易 至文 プロフィール

〇【一方が死亡 相続税が高い】

借主が死亡したときは、折半型ではそれぞれが、連帯型も二人で連生型の生命保険に入ることで、死亡時に支払われる保険金でローンは完済されるでしょう。

しかし、二人のあいだに法定相続がないので、折半型では相互に、連帯型も名義者からそうでないほうへ、所有権(持分)を遺贈する遺言が必要でしょう。

銀行はペアローンのために合意契約と相互での任意後見契約を求めますが、それは返済をする生きているあいだのためであって、住む人間にとって本当に必要なのは、むしろ死んだあとも所有権を確保するための遺言なのです。

しかし、遺贈は贈与税ではなく相続税の扱いになりますが、法定相続人(親族)への相続の場合に設けられているさまざまな控除が一切なく、住宅の評価額や他の財産とのかねあいによっては相続税がかかる場合もありますので注意が必要です(そもそも法的婚姻をしている配偶者間での相続は、1億6000万円までは非課税)。

 

〇【支払い途中に関係解消】

さらに、支払いの途中で関係が破綻・解消という事態も、なきにしもあらずです。

一方の名義で所有する連帯型は、非所有者のがわが退去し、連帯保証人も交代し、残る側がローンを丸ごと引き受けることになるでしょう。折半型の場合は、相手の2分の1の持分を買い取るとか(税務や登記も関連)、ローンを組み直すなど、大変さはさらに増します(とはいえ、関係は終わっているのに居住をともにし続けるゲイふたり、という姿も、ときに見かけるものですが……)。

不動産の購入や共有には、多面的な視点も必要

老朽マンションの建て替えで、区分所有者の合意が整わず苦労するように、不動産といった大きな財産を複数人で共有することの苦労は、カップルでも同様でしょう。

男女夫婦が子育てという長期プロジェクトも考え、ある程度の広さの住宅を購入することには合理性もありますが、2人で住む程度の住宅を2人で購入したり、名義も共有にしたりすることは、カップルの嬉しい気持ちはそれとして、実務上はいろいろ煩雑な事態の可能性も考え、備えておく必要があります。

さらに長期的な経済変化(「負動産」化)や大災害の発生などを考えれば、不動産は持つこと自体がリスクとも言われはじめました。また、購入理由とされてきた高齢者への貸し渋りも、空き家の増加など住宅供給の変化も見込まれます。性的マイノリティのライフプラン的には、「子孫に美田を残す」必要のない単世代家庭でもあり、家は購入と決めてかからないほうがいい場合もあります。

同性カップルにも住宅ローンが開放、「ふうふ」扱い可能に……そういった見出しで「よきこと」として伝えるニュースや記事を見かけるたびに、住宅についてはローン利用者・居住当事者の立場から、もっと現実的で多面的な視点も必要ではないか、と思っているところです。