公文書とは何か…「薬害エイズ事件」の文書が与えた大きな影響

公文書問題30年史(1)
三木 由希子 プロフィール

公文書とは何か

今、何かと問題になっている「公文書」の定義を法で定めたのが、情報公開法だ。

それまでは、公文書とは何かについての政府共通認識はなかった。省庁がそれぞれ定めた文書管理規程や文書取扱規程で、一定の管理の対象として文書を定めており、範囲はまちまちだった。

各省庁内での必要性や慣行によって、管理の対象とする文書の範囲を定めれば足りていたのは、公文書を公開するとか、社会の共有財産として利用・管理・保存するなど、政府の外との関係で公文書の扱いを考える必要もなかったからだ。

ところが、情報公開法は政府内部にある文書を外に公開させていく仕組みなので、法制化すると今までと同じようにいかなくなる。

情報公開請求に応じてどの範囲の文書を探せば法的義務を満たしたことになるのかという線引きが必要になり、その文書を管理する仕組みにしておかないと混乱する。

そこで、情報公開請求の対象として「行政文書」を定義し、これを管理する仕組みとしたのである。

 

「行政文書」の定義を検討したのは、行政改革委員会行政情報公開部会(部会長は元最高裁判事で法制局長官だった角田礼次郎氏)だ。

1994年に行政改革委員会設置法が、情報公開法を含む制度の調査審議を行い2年以内に内閣総理大臣に意見具申をすると定めたため、情報公開法を専門的に検討するために設置された。

部会では、文書管理規程で文書の範囲がバラバラな状態のままでは適当ではないという認識のもとで、請求対象をどう定めるかが議論されていた。

当初は、バラバラな文書の範囲の接点を見出して文書の範囲を定めることも検討され、決裁等の一定の手続を経た文書を請求対象とするような考え方の整理もされた。

しかし、この方針を捨てて、情報公開法の趣旨・目的に照らして請求対象とする文書の範囲を定める考え方に整理されることになった。