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安倍総理よ、本気で憲法を変えたいなら、こう演説しなさい

改憲・護憲の因襲を超える方法

今度の参院選の注目ポイントは、「改憲派」が国会発議に必要な議席数(3分の2)を維持できるかどうかだ。形骸化した改憲・護憲の議論に辟易する向きもあろうが、事の本質は一体どこにあるのか…。

国際紛争の現場と日本の法整備の矛盾を肌で知る伊勢崎賢治さんが、「もし僕が安倍首相だったら、こう演説しますね」と挑発気味に緊急寄稿! 何が問題なのか、これを読むとよくわかります。

国民の皆様へ、白状します

自衛隊の違憲論争に終止符を打つ?

僕(伊勢崎)だったらこうやります。

* * *

私、内閣総理大臣安倍晋三、自衛隊の最高指揮官として国民の皆さんに申し上げます。

我が自衛隊は世界で最も節度ある実力組織として、これまでもそうでしたが、これからも専守防衛だけに徹することをお約束します。

本日は重大なことを国民の皆様にお知らせしなければなりません。

我が国も国連主義に基づき誠実に批准してきた国際法の中に、国際人道法というものがあります。これは数ある国際法の中でも、戦争の完全な放棄を目指して、戦争を”より”しにくくするように、使っていけない武器や違反行為を戦争犯罪として一つ一つ合意してきた、人類の平和への努力の結晶です。皆様もご存知のジュネーブ条約などがこれです。その不断の努力は今でも続いています。

核兵器の使用を禁止する! 唯一の被曝国として、これは私たち日本人の悲願でありますが、被爆者の皆さんの尽力で昨年成立した核兵器禁止条約の中で再三再四謳われているのが国際人道法。そうです。この新しい条約も核兵器の使用を戦争犯罪にするべく世界が合意に向けて踏み出す第一歩なのです。

日本政府は、後に述べる日本特有の事情で、まだ批准に至っていません。その事情をここでお話しするのです

忘れてならないのは、人類はいまだ、国家を超えて戦争犯罪を断罪できる地球裁判所のような強力な司法機関を持ち合わせていないということです。よって、国際社会においては、国内外問わず自らが犯す戦争犯罪と、誰が犯すかに関わらず自らの施政下で起きる戦争犯罪、この両方を起訴する能力を持つことが法治国家としての義務と見なされているのです。

つまり、違反行為の国際的な合意。そしてそれを合意した各国による違反行為を起訴する国内法の整備。この二つで平和を希求する国際秩序は成り立っているのです。

しかし私は内閣総理大臣として、与野党を問わず歴代の指導者に代わって、白状しなければなりません。

日本はこの国内法の整備をやってこなかったのです

大変に深刻ですが、理由があります。

 

初耳かもしれませんが

自衛隊が戦争犯罪をおかす…。

国民の皆様の大半は、日本は戦争を憲法で放棄しているのだから戦争犯罪など起こるはずがない!とお考えになっていると思います。

でも、それは違います。

終戦後、日本国憲法ができる前に成立した国連憲章はすでに、侵略等の戦争を厳禁、というか、そんな不埒な国家が現れたら国連全体で戦うことを、国連の存在意義としています。だから、国連ができてから今まで、数件の例外を除いて、そんな戦争は起きていないのです。

じゃあ今起きているものは何なんだ? と皆さんは思うでしょう。

それらはすべて、自衛の名の下に行われてきたものなのです。現代においては、自衛が戦争であり、それをやる国家にとっては、すべてが専守防衛なのです。