4つ星以上の商品だけ扱うリアル店舗「アマゾン4スター」本当の狙い

アマゾンの行動パターンから分析
陰山 孔貴 プロフィール

 「アマゾン4スター」の狙いは?

では、アマゾンは、このお店で何をやりたいのでしょうか。

アマゾンサイトを普段あまり活用していないリアル店重視の顧客を取り込むことでしょうか。

さらには、新たにプライム会員を増やそうとしているのでしょうか。

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もちろん、それらの狙いもありそうです。

ただ、アマゾンのことです。それ以上の狙いがあってもおかしくはありません。

本記事ではこの点について考えていきたいと思います。

ただ、アマゾンは「何をやっているのか」を理解しにくい企業でもあります。

多くの企業は、今、自分たちがやっていることを積極的に説明するのですが、アマゾンは最低限しかしません。

 

 カニバリゼーションを厭わない「アマゾン」

また、同社のビジネスを理解することを難しくしている点として、アマゾンはカニバリゼーションを厭わない点があります。

カニバリゼーションとは、自社の商品・サービスが自社の他の商品・サービスを侵食してしまう「共食い」現象のことを指します。

一般の企業では、カニバリゼーションを起こす新規事業には二の足を踏むことが多いのですが、それを果敢に実行するのがアマゾンです。

たとえば、「キンドル」はそのよい例でしょう。

電子書籍は書籍販売という既存のアマゾンのビジネスとカニバリゼーションを起こす可能性が高かったのですが、アマゾンは果敢にそれを実行しました。

 意外な事業を突如はじめる「アマゾン」

また、同社のビジネスを理解することを難しくしている他の点として、利益が出るとは到底思えないビジネスを突如はじめる点があります。

たとえば、「アマゾン・プライム」はそのよい例でしょう。

アマゾン・プライムは、定額料金を支払うことによって、迅速な配送サービスやビデオ、音楽サービス等を追加料金なしで受けられる会員制プログラムのことです。

このサービスは当初、どう考えても採算が取れるとは思えないサービスでした。特典が価格のわりに豪華すぎるのです。

しかし、蓋を開けてみるとこのアマゾン・プライムによって、顧客の囲い込みが成功し、購入額が増加しました。特にアメリカではそのインパクトが大きかったのです。

また、これにより多くの売り手がアマゾン・マーケットプレイスに商品を揃えるようになり、アマゾンで取り扱われる商品幅がひろがるという好循環ももたらしました。