「7pay」不正問題には、日本企業の経営のダメさが凝縮している

これはマネジメントの問題だ
加谷 珪一 プロフィール

経営トップは技術に詳しい人であるべきか?

同社トップが2段階認証を知らなかったことについてはネットを中心に驚きの声が上がっている。2段階認証の仕組みは、セキュリティ分野における初歩の初歩の概念なので、いくら技術の専門家ではないとはいえ、決済サービスのトップがこれを知らなかったというのは、大きな問題といってよいだろう。

だが、技術に詳しい人をトップに据えればそれで問題が解決するのかというと話はそう単純ではない。これはトップが技術に詳しいかどうかということではなく、日本企業が抱えている深刻な経営問題と捉えた方がよい。

一般論として経営トップに立つ人は、自身が経営する企業の製品やサービスについて詳しく知っておく必要がある。だが、技術が細分化されていたり、経営領域が拡大すれば、当然、自身ではカバーできない部分も出てくる。

 

技術に詳しい人が必ずしも経営者としての適正を備えているとは限らないので、トップの人選にあたってもっとも重視されるべきなのは、やはり経営者としての能力であることは言うまでもない。

仮に技術に詳しくなくても、優秀な経営者であれば、自身が詳細な知識を持っていないことをすぐに認識するので、詳しい人間をスタッフとして近くに置くか、責任者として登用する形で、知識不足をカバーする体制が構築されるはずである。諸外国のIT企業トップの中にも、ITに詳しくないという人はそれなりにいるが、問題なく経営できている。

だが、人材の流動性が乏しく、年功序列を基本とする日本企業の場合、経営者としての適正がない人がトップに立つケースはザラにある。仮にトップにそれなりの見識があっても、年次の関係で自由に部下を配置できない、社内に専門的な人材がいないといった理由から、十分なサポート体制を構築できないことも多い。今回のケースがどちらに相当するのかはまだ分からないが、日本企業に顕著な問題である可能性は高いだろう。