5000人と面談して見えてきた「転職でつまずく人」の共通点

「会社の評価に納得いかない」は黄信号
山田 実希憲 プロフィール

転職すること自体が目的になっていた?

田中さんの前回の転職活動を振り返ってみると、きっかけは同じで、自分への評価が低いことへの不満が理由でした。

一般的に自分への評価とは給与や、職位にあらわれます。あるいは参加できるプロジェクトの規模が大きくなるなど、仕事上でより良い機会を与えられることで実感することができます。

田中さんにとって、「自分への評価」とは何を指していたのでしょうか。

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田中さんからの転職相談を受けてみると、自分をどのように評価してもらいたいのか、満たされていないものを次の会社が満たしてくれるかどうか、という振り返りをしていないことがわかってきました。

評価されることを望みながら、転職先では何が評価されるかを知ろうとしないケースは、実は数多くあります。自分が評価されないのは会社がおかしいからだ、という結論があって転職活動をしている場合、転職すること自体が目的化してしまうことになります。

 

たしかに評価基準があいまいな会社も多く存在します。だからこそ、評価されるポイントをつかんでおくべきです。業績を上げることで評価される、チームを助けることが評価される、といった基準が明確になっていて、自分のスキルを活かしやすい環境かどうかを具体的に検討することで、精一杯仕事に打ち込むことが評価につながる確信が得られます。

田中さんのように辞めることが最優先になり、転職自体が目的化している人は、他社から内定を獲得できると「これで辞められる」という気持ちになってしまい、転職後の設計が甘くなってしまう傾向があります。結果、入社の前後でギャップが生まれやすく、評価しない会社が悪いのでまた次の会社に転職する、というループが繰り返されてしまったのです。

「自分が評価されない理由」を考える

転職しようと思ったきっかけは不満であることがほとんどです。その不満を掘り下げ、何が満たされていないことが不満なのか、その不満は転職によって解消されるのか、という冷静な判断が必要です。

そしてその判断には、「なぜ自分が評価されなかったのか」という捉え方で自分側に問題はなかったのかを振り返る必要があります。評価しないのは会社が悪い、という他責の発想から、自責で物事を捉えることで、同じ失敗を繰り返さない学びが得られるからです。

半年~一年間という短期間で転職を続けてしまった状況を、田中さんも決して良い状況とは思っていませんでした。年齢的にも、持っているスキルも、まだ転職先を探すことはできるかもしれませんが、それでも少しずつ転職先の選択肢が減ってきている自覚もありました。

その中で転職をして、また評価されないという懸念を払しょくするため、まず、今の会社で評価されるにはどうしたらいいのか、本当に今の会社では評価されないのか、自分と向き合うために半期のフィードバックを役立てることになりました。

自分は何を評価されたいのか、そしてなぜ評価されないのか、自分と向き合うことにしたのです。自分にとって評価されるとはどういうことなのかを明確にして、今の会社ではそれが実現できないと判断した時にはじめて転職する、という計画となりました。転職はあくまで手段の一つとして、捉えることが出来るようになったのです。

スキルはあるがコミュニケーションがとりづらく、チームとしての動きの足並みを乱す人、というありがたくない評価も、いったん自分ごととして受け入れ、今まで以上に仕事と、周囲への協調姿勢を見せていくことになりました。

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