宝塚はサイトでなぜダメかを説明

改めて聞こう。みなさんは劇場で「前傾姿勢での観劇はご遠慮ください」というアナウンスを耳にしたら、どう思うだろうか。そのアナウンスが意味することがわかるだろうか。

もしかしたらなかなかイメージしにくいかもしれないのだが、前傾姿勢での観劇は、大きな確率で、後ろに座る人の視界を大幅に遮ることになるのだ。映画館でも多少そういうことを感じたことがあるかもしれないが、生身の人間の大きさを考えると、舞台ではさらに「視界を遮る」ことが致命的になる。言葉ではピンとこないかもしれないので、宝塚歌劇団の公式サイトを紹介したい。

観劇マナーを紹介するページhttps://kageki.hankyu.co.jp/theater/other/information.html
で、写真入りで、前傾姿勢の観劇が迷惑行為であることを紹介している。

宝塚歌劇団公式ホームページより

劇団四季の公式サイトでも、「前傾姿勢でご覧になられると、後ろのお客さまの視界の妨げになります。上演中は背中をいすの背もたれにつけて、ご観劇ください」とイラスト付きで注意を喚起している。
https://www.shiki.jp/theatres/4008/

帝国劇場でも開演前に、劇場係員が口頭で、前傾姿勢での観劇はしないでほしいと案内がある。

劇場で前傾姿勢での観劇が迷惑行為であることは、あえて言い切るが、「常識」といっていい。私もその一人だが、演劇ファンの多くは前傾姿勢の被害に遭遇し、前傾姿勢での観劇がいかに後ろに座る人の視界を遮るかを身をもって経験している。

「前のめり」という言葉の意味

鴻上さんのツイートに対し、前述の宝塚歌劇団の公式サイトのリンクを紹介した人もいた。鴻上氏はそれらに返信して、「これは、やはり、『前のめり』ではなく、『前伸ばし』の姿勢ですね。これは邪魔になるのはよく分かります」と返信。「前のめり」という言葉の解釈の違いとまとめ、鴻上さんは最初のツイートを含むいくつかのツイートを削除した。

”色々と意見をいただいて、昨日のいくつかのツイートを削除します。僕がいいなと思うアナウンスは、「他のお客様の御迷惑になりますから、前のめりの御観劇は御遠慮下さい」ではなく、「他のお客様の御迷惑になりますので、前に乗り出したり、伸び上がっての御観劇は御遠慮下さい」だと分かりました。これなら、制作意欲は削がれません。

態度としての「前のめり」という言葉は、どうしても作り手として精神的な「前のめり」をイメージしてしまうので。お騒がせしました。苦痛を与えた方には、謝ります。ごめんなさい。”(鴻上尚史さん公式ツイッターより)

話はこれで終結となったわけだが、その後もしばらくの間、演劇ファンたちがざわついていたのは、私たち“観る”側が常識と考えていた、「前傾姿勢=超迷惑行為」と認識が、作り手側に共有されていなかったことにあると思う。何をもって「前傾姿勢」と呼ぶかという認識が違うということもある。ただ、舞台を愛すればこそ、客席からの見え方に関する、舞台を作る側の認識の相違にショックを受けた人が多いのではないだろうか。