ライターの長谷川あやさんは仕事として関わる前から日本でもNYでもソウルでも舞台を観まくっているほどの舞台好き。はっきりいって、働いたお金のかなり多い部分を舞台関連に注いでいる。そんな長谷川さんが大衝撃を受けた、ある演出家のツイートとは……。

鴻上尚史さんのツイートで侃々諤々

7月2日、演出家の鴻上尚史さんが、劇場での「前のめりはご遠慮くださいの劇場アナウンスに違和感」という趣旨をツイートし、演劇ファンを中心に物議をかもした。発端となった、発言の一部を引用する(すでに削除を明言して削除したツイートもある)。

”最近、多くの劇場では「他のお客様のご迷惑になりますから、前のめりでの御観劇はご遠慮下さい」とアナウンスされるのだが、いつも違和感を感じる。ひとつは、急勾配の二階や三階では前のめりは見えなくなるが、ほとんどの劇場では一階は前のお客さんが前のめりになると視界が広がって見やすくなる”(鴻上尚史さん公式ツイッターより)

”そして、違和感の二つ目は、僕達演劇人は、お客さんを夢中にさせて前のめりにさせることが目標だと思っているからだ。(略)僕も紀伊國屋ホールのピンルームからいつも客席を見下ろして、今日は何人前のめりになっていたかを確認しながら、その日の芝居の出来を確かめていた。「前のめりになるな」は、芝居に熱中するな、という意味なのだ。”(鴻上尚史さん公式ツイッターより)

この鴻上さんのツイートには、演劇ファン(と思われる)のものを中心にたくさんのコメントが付いた。すべてのコメントを確認したわけではないが、怒りをそのままぶつけている人もいたし、「いつも関係者用の良席でご覧になっている人にはわかりませんよね」という皮肉めいたコメントもあったが、その多くは、自らが遭遇した前のめりの刑の被害を訴えるものや、鴻上氏になぜ前のめりでの観劇が迷惑なのか理解してもらおうと丁寧に説明しているものが多かった印象だ。

たぶん鴻上さんがもっとも伝えたかったのは、「物作りに水を差すような無粋なアナウンスはやめてほしい」ということなのだと思う。

ただ、炎上したには理由がある。観劇時に、実際に「前のめり観客の害」に悩み、それゆえに「舞台に夢中になれない」人が山ほどいるからだ。