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巨象・NOKIA(ノキア)が「瀕死の危機」からV字回復できたワケ

立役者の会長がすべてを語った

フィンランド発の通信機器大手としていまや世界を代表するグローバル企業として知られるNOKIA(ノキア)。その成長ぶりから「北欧の巨人」とも呼ばれるノキアだが、じつは過去に倒産の危機に瀕したことがあることをご存じだろうか。そんな危機の最中にある2012年、同社のかじ取りを任されたのがリスト・シラスマ氏。一時は世界シェアの過半を誇った携帯事業を「捨てる」という決断を下すと、ノキアをそこから奇跡のV字回復へと導いていったのだ。

そんな大復活の立役者であるシラスマ氏が、このほど『NOKIA 復活の軌跡』(原題『Transforming NOKIA』)を上梓した。来日したシラスマ氏を立教大学ビジネススクール教授の田中道昭氏が直撃、瀕死の巨大企業が大復活した全舞台裏が明かされた。

インタビューに答えるシラスマ氏。6月、場所はフィンランド大使館にて

破滅を待つ日々

2012年、ノキアは殺伐とした株主総会を迎えていた。同社が「北欧の巨人」と呼ばれ、「フィンランドの軌跡」「技術の神童」とほめそやされていたのは、そのわずか4年前のこと。世界のスマホ市場のシェアの過半数を占める栄華を誇っていたノキアの携帯事業は、アップルiPhoneの前にもろくも敗れ去った。この4年で失われた時価総額は9割に達した。そんな大暴落劇にさらされたノキアが選んだのが、栄華を誇った携帯ビジネスを捨て去ることだった。

その決断を下したのは、その株主総会で会長に指名されたリスト・シラスマ氏である。以後、ノキアは通信機器分野で奇跡の大復活を遂げることになる。

だが、注目すべきはこの奇跡のV字回復はなにも「携帯を捨て去る」という決断だけで成し遂げられたわけではないということだ。シラスマ氏は言う。

「私が会長に就任する前、ノキアの取締役会は、失敗続きの状況の根本原因を体系的に探究して、挽回しようと動くことはなかった」

 

業績が落ち込み、だれの目にも改革が必要だとわかっていても、肥大化し、また官僚的となった組織は抜本的な変革に取り組めない。極めて優秀な人材を社内に抱えながら、ノキアは「その状態に陥っていた」という。日本にも煮え切らない思いを胸に、悪戯に時を過ごしている経営者や幹部、社員がけっこういるのではないだろうか。

衰亡を実感しながら、破滅を待つ。こんな絶望的な状況を、シラスマ氏はどのように乗り越えていったのか。